サーバー論理分割機構「Virtage」のLPAR上でSAP HANAがより高速に
LPAR利用時のインメモリDBを高速化した日立の新ブレードサーバー
2014年10月27日 06時00分更新
10月24日、日立製作所はブレードサーバー「BladeSymphony」の新モデル「BS2500」を発表した。ビッグデータの高速処理や高信頼クラウドを支えるハイエンドブレードサーバーと位置づけられ、I/Oや可用性を向上させたほか、サーバー論理分割機構「Virtage」も強化された。
性能面にフォーカス!新CPU採用とI/Oの向上
BladeSymphonyは、ブレードサーバー、ストレージ、ネットワークを統合し、システム全体の統合的な運用管理を可能にするブレードサーバー。高信頼なハードウェア、独自のサーバー論理分割機能「Virtage」、障害時のシステム自動切り替えなどが大きな特徴となっており、基幹系システムを前提とした「メインフレームクラスの信頼性」を謳う。
今回発表されたBS2500は、ビッグデータの高速処理や高信頼クラウドを支えるハイエンドブレードサーバーと位置づけられ、「高性能サーバブレード」と「標準サーバブレード」の2種類が用意されている。最長10年のハードウェア保守に対応する「BS2500 Eタイプ」も合わせて提供される。
高性能サーバブレードはインテルXeonプロセッサーE7-8800 v2製品ファミリーなどを採用し、従来製品比約2.3倍の処理性能を向上している。ブレード間SMP(Symmetric Multi Proscesor)接続ボードを介して、2/4台のブレードを束ねる「ブレード間SMP」を用いることで、最大120コア、最大6TBのメモリを用いる高性能なSMPサーバーとして利用できる。標準サーバブレードは、インテルXeonプロセッサー E5-2600 v3製品ファミリーを採用し、従来の約1.4倍の処理性能を実現するという。
さらにPCIeスロット数を最大16(4台のブレードサーバー接続時)まで増やし、最大192GB/sまで帯域を拡大。最新PCIe 3.0の採用により、I/Oのボトルネックを解消し、データベースの高速化を実現する。サーバーブレードあたり、4スロット搭載したことで、ネットワーク、ストレージの接続をそれぞれ二重化し、可用性を向上できるという。
LPAR利用時もインメモリDBアクセスを高速化
独立性の高いサーバー論理区画(LPAR)を構成するVirtageも強化。新たにメモリアクセスの頻度が高くなるインメモリDBのワークロード特性を分析し、最適なLPARを管理するデータやプログラムの配置を最適化。仮想化を用いながらも、高いインメモリDB性能を確保したという。
なお、VirtageはSAP HANAが動作可能な仮想化環境としてSAPから認定を取得しており、「日立インメモリDBアプライアンス for SAP HANA」という製品として2014年11月21日から提供を開始する。
BS2500の価格はサーバシャーシ(A1)が159万4000円~、高性能サーバブレードが286万円~、標準サーバブレードが77万3000円~(ともに税別)。E5-2600 v3を搭載したBS500用のサーバーブレードも追加され、こちらは50万5000円~。全モデルでサーバー論理分割機構Virtageを標準搭載する。
今後はXeonプロセッサー E5 v3ファミリーにおいて、仮想化のオーバーヘッドを低減する「VMCS(Virtual Machine Control Structure)シャドーイング」技術を開発し、2015年度に製品化。基幹系システムに加え、マルチテナントを前提とした高信頼なクラウド環境にまで適応領域を拡げていくという。