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Analytics CloudやCommunity Cloud、Lightningが発表された「Dreamforce 2014」

セールスフォースCOOに直撃、プラットフォーム進化の方向性は

2014年10月20日 14時00分更新

文● 大河原克行

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 セールスフォース・ドットコムが10月13~16日、サンフランシスコで開催したプライベートイベント「Dreamforce 2014」。今年のキーワードは「CUSTOMER SUCCESS PLATFORM」であった。

 これは昨年まで同社が語っていた「Internet of Customer」、さらに「Customer Company」という言葉を、さらに一歩進めたものだといっていい。

サンフランシスコのモスコーニセンターで開催された「Dreamforce 2014」

 米セールスフォース・ドットコムのCOO(最高執行責任者)、ジョージ・フー氏はまず、現在の市場トレンドであるIoTとInternet of Customerの考え方の違いを、次のように説明する。

 「市場の大きなトレンドは、コネクテッドデバイスの爆発的普及であり、多くの企業はその変化を指して“Internet of Things(IoT)”と呼んでいる。だがセールスフォースでは、ここで大切なのはデバイスとの関係ではなく、それを利用する顧客との関係が築かれる点にあると考えている。だからこそ『Internet of Customer』と言っているわけだ」(フー氏)

米セールスフォースCOOのジョージ・フー(George Hu)氏

 そして、Internet of Customerに対応するためには顧客との関係を考え直し、企業そのものがCustomer Companyになることが必要である、と続ける。

 「では、どうやってCustomer Companyになるのか。それは、CUSTOMER SUCCESS PLATFORMを活用することである」(フー氏)

 つまり、CUSTOMER SUCCESS PLATFORMとは、Customer CompanyやInternet of Customerを実現するための基盤だと言える。そして、こうしたプラットフォームを提供できる点が、セールスフォースの強みであることをフー氏は強調した。

 「さまざまなコネクテッドデバイスや、あらゆるタッチポイントから発生するすべてのデータを集約し、営業、販売、マーケィテング、コミュニティといった領域において、深いアナリティクスを行ったり、これらのデータを使って顧客との関係を強化できる。そのためのプラットフォームを、統合したプラットフォームで提供することが、セールスフォースのユニークなところである」(フー氏)

アナリティクスプラットフォームを新たに発表――さらにその先は?

 今回のDreamforceでは、新たにアナリティクスプラットフォームとして「Wave」が発表され、さらにSalesforce 1 Platformの次世代ソリューションと位置づける「Salesforce1 Lightning」も発表されている。

 「いまから3年前のセールスフォースのプラットフォームは、モバイルプラットフォームでも、コネクテッドプラットフォームでもなかった。その後、Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloudが揃い、今回新たにAnalytics CloudとCommunity Cloudが追加された。技術が進化し、それによってモバイルと接続する世界へと進化してきたわけだ」(フー氏)

 これを補足するように、セールスフォース日本法人の川原均COOは、「昨年、Salesforce 1を発表して、モバイルによる新たな世界が広がった、今年の発表は、それをアプリケーションの世界にまで広げた。そして、これまでやってこなかったアナリティクスの領域にも踏み出した。多くのアプリケーションベンダーにとってチャンスが広がることになる」と語る。

セールスフォース・ドットコム日本法人のCOO、川原均氏

 “モバイルファースト時代”におけるプラットフォームが、ひとつの完成領域に入ってきたと言ってよいだろう。

 さらにフー氏は、今後のプラットフォームの強化について、「今後3年というフェーズでみれば、サービスのインテリジェンス化が進展することになるだろう」との方向性を示す。

 「顧客がなにを求めているのかを捉えながら、新たなプラットフォームを強化していく。Salesforce1 Lightningのように、我々が自ら構築していく手法や、Markting Cloudのように買収して強化して行くもの、さらには、Analytics Cloudのように、小さな買収を行い、それに対して、セールスフォース・ドットコムが大きな投資を行っていくというように、いくつかの手段があるだろう。これからもその姿勢は変わらない。大切なのは、顧客にとって成功のための機会が失われないように、我々が常に対応していくことだ」(フー氏)

 だが、昨年のSalesforce 1によるモバイル対応は出遅れ感があったのも事実。今回のAnalytics Cloudも、やはり“ようやく”アナリティクス領域に進出したと言えなくもない。果たして、セールスフォース・ドットコムは顧客の機会損失につながらないタイムリーさを維持できているのだろうか。

 この問いかけに対して、フー氏は強く反論する。

 「コネクテッドデバイスへの対応は、この1年で急速に進展した。そして、アナリティクスについても、すでにいくつかの先行事例が紹介できるようになっている。モバイルのデバイスが爆発的に伸びているが、ほとんどの企業が、そこでエンタープライズアプリをまだ利用できていないのが実態。日本のビジネスエグゼクティブが、モバイルデバイスでエンタープライズアプリを使っているのかどうかを見てほしい。アナリティクスツールでも同様に、モバイルデバイスを活用している例はない。むしろ、われわれは先に行っている」

 もうひとつ気になるのは、日本市場への展開が北米に比べて遅れていることだ。

 昨年11月に開催されたDreamforce 2013で発表されたExactTarget Marketing Cloudは、今年の6月になってから日本で正式発表された。今回発表されたAnalytics CloudのプラットフォームであるWaveも、日本への展開は来年以降となる公算が強い。

 日本の企業がCustomer Companyになるためには、CUSTOMER SUCCESS PLATFORMの活用が必要。であるならば、日本市場への展開時期をさらに短縮する必要があるまいか。

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