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「物流に注力すれば必ず伸びる」…イー・ロジット角井氏インタビュー②

2014年10月17日 05時50分更新

記事提供:通販通信

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コンサルティングで顧客の成長を支援

――イー・ロジットの強みは?

角井 通販物流代行を最も早く始めた会社であるため、たくさん失敗を経験していることから、どの会社よりもノウハウが蓄積しています。社内にシステム部門を持っているため、顧客によって臨機応変に対応できます。要望があれば、24時間体制での出荷対応もしています。

また、弊社ではネット通販で成長する方法を研究しており、コンサルティングを通じて顧客の成長を支援しています。実際に弊社と取り引きしている会社は伸びている会社が多いです。
弊社は現場の人材にも強みがあります。これにはちょっとした縁がありました。弊社が2005年に自社雇用を拡大していくタイミングで、取り引きしていた人材会社が事業を縮小し、弊社が雇用を引き受けました。その会社にはしっかりと教育をされていた人材が多く、その時のメンバーが現在も基盤となっており、大変助かっています。物流センターでもチームワークが大事。

QC、改善を繰り返すQCサークルも行い、社員・派遣・アルバイトも関係なく、それぞれの改善の提案を採用しています。物流の試験に合格したら、派遣の人にも祝い金が出ます。資格を取得するための研修も、無料で行っています。

――イー・ロジットの通販物流代行で、通販会社が最も喜ぶことは何でしょうか?

角井 やはり品質だと思います。梱包の美しさや間違いがない確実性です。当然、間違いはゼロではないのですが、間違いの率はかなり低い。これは長年積み上げてきたノウハウで、業務の作りこみのレベルが高いからです。
楽天の出店者が弊社を利用するようになり、物流の評価軸が上ったこともあります。「物流会社が変わったと聞きましたけど、ほんとによくなりましたね」など、コメントも出ていました(笑)。これは、いろんな会社の評価コメントで掲載されており、とてもうれしく感じています。こういった例は、他ではないでしょう。

――新たに「埼玉フルフィルメントセンター」(通称:埼玉FC)を稼働させました。埼玉FC設立の目的についてお聞かせください。

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角井 ビジネスの拡大に伴い、離れていた3つのサテライトセンターを埼玉FCに集約し、業務の効率化を図ることが目的です。弊社は小さなセンターを作って、数が増えてきたら統合するといったやり方を繰り返し、今回は16番目の拠点となります。また、もう一つの目的は、マルチチャネルに対応できる体制の構築です。通販だけじゃなく、店舗配送を中心とした会社もあり、顧客自体がマルチチャネルになってきました。

送料無料はキャンペーンが効果的

――昨年は送料無料の波が押し寄せました。

角井 以前から一貫して言っているのですが、送料無料はキャンペーンとして使用するのが、一番効果的だと思います。通常の配送で送料無料にしてしまうと、やめることができなくなります。送料無料を使用するタイミングも重要ですが、販促費として考えれば良いと思います。新規獲得のコストは年々上がっています。新規獲得のコストに比べれば、送料無料の負担は安い。消費者の反応もネット広告より、送料無料の方が良いです。100円と0円でも、心理的には大きく異なりますので。

――物流業界、ネット通販の今後の展望は?

角井 業界では配送料が上がっています。そうなると、発送する場所から購入者までの距離が短くないと採算が合わなくなる。弊社は基本的に都心型なので、新たに稼働した埼玉FCも、東京駅から直線距離で17.5kmと、近い距離にあります。東京FCは東京駅から9kmです。運賃、作業費の面でも優位となり、茨城、静岡、群馬など、都心から離れている物流センターは不利になります。ネット通販の購入者の大多数は東京の人ですから。

ネット通販業界では、「オムニチャネル」という言葉が話題となっていますが、オムニチャネルはリアル店舗を持つ会社の言葉として捉えている人もいます。しかし、それだけではありません。ネットショップだけの会社でも、オム二チャネルの要素は持っておく必要があります。実際に在庫をどこに置いて、どのように配送するか、受注経路をどうするか、その選択が変幻自在にできた方が有利。当日配送ができる会社、コンビニ留め置きできる会社など、選択肢は当然多くあった方がいい。選択肢を広げるには、自前でできないことが多くあります。

イー・ロジットは古くから蓄積されたノウハウを生かし、さらにボリュームと立地を活かし、新しく取り組みにも積極的にチャレンジしています。イー・ロジットと組んでいれば、競合他社が行う1年以上前に、新しいサービスも試すことができます。当然、競合他社を出し抜くこともできるし、シェアも拡大できます。

――本日はありがとうございました。

(文・構成:山本 剛資)

[セミナー情報]
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『大激変する次世代物流に対応せよ!』
~ネットリアルを融合したサプライチェーン「オムニチャネル」~
(株)キタムラ 執行役員 EC事業部長 逸見 光次郎氏

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■角井亮一(かくい りょういち)氏
(株)イー・ロジット 代表取締役 兼 チーフコンサルタント
上智大学経済学部経済学科を3年で単位取得終了し、渡米。ゴールデンゲート大学MBAをマーケティング専攻にて取得。帰国後、船井総合研究所に入社。不動産会社を経て、実家の光輝物流に入社し、日本初のゲインシェアリング(成功報酬型アウトソーシング)を実現。
2000年2月、(株)イー・ロジットを設立し、代表取締役に就任。
著書に「物流がわかる」(日本経済新聞出版社)、「小売・流通業が知らなきゃいけない物流の知識」(商業界)、「図解 よくわかる物流のすべて」(日本実業出版社)、「通勤大学実践MBA戦略物流」(総合法令出版)などがある。

<主な著書>
「図解 基本からよくわかる物流のしくみ」
「日経文庫 物流がわかる」
「Strategic Logistics in Japan」

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前編へ⇒「物流に注力すれば必ず伸びる」…イー・ロジット角井氏インタビュー①

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