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最新ユーザー事例探求 第36回

オールフラッシュストレージ、採用の決め手は高いIOPSと重複排除性能

「初めは他社製品を……」So-netがPure Storageを選んだ理由

2014年10月22日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ソネット(So-net)が今年5月に提供を開始したクラウド型の仮想クライアントソリューション「Mobility Acceleration」では、サービス提供基盤としてオールフラッシュストレージアレイの「Pure Storage FA-400シリーズ」を採用している。「当初は別ベンダーの製品を導入しようとしていた」と語る同社に、Pure Storge採用までの背景を聞いた。

「Mobility Acceleration」は、ソネットが“bit-driveブランド”で提供する仮想クライアントソリューション

未来のワークスタイル変革を考え「中小企業でもすぐ使えるDaaSを」

 ソネットでは今年(2014年)4月、ソニーグループ内の法人向けISP「bit-drive」を事業統合した。この“新生bit-driveブランド”の下、SOHOから大企業まであらゆる法人顧客をカバーし、ブロードバンド回線やVPNのネットワークサービスだけでなく、クラウドサービスにもビジネス領域を拡大している。

 今年5月に提供を開始したMobility Accelerationは、bit-driveが“新たなチャレンジ”と位置づけるソリューションだ。「仮想デスクトップサービス」(DaaS)を中心として、安全なBYOD環境を提供する「セキュアコンテナサービス」、それらのPC/モバイル環境にActive DirectoryやExchangeサーバーの機能を提供する「Windows Serverパッケージ」という、3つのサービスで構成されている。

Mobility Accelerationは、bit-driveのクラウド基盤をベースに「仮想デスクトップサービス」(DaaS)、「セキュアコンテナサービス」、「Windows Serverパッケージ」の3サービスを提供する

 元々のサービス構想が立ち上がったのは、2012年4月のことだ。サービス企画に携わる原山氏は、「『これから数年後、2016年、2017年のワークスタイルはどう変わっているか』という問いが最初にあった」と振り返る。コンシューマー市場ではすでにスマートフォンの利用拡大が始まっており、企業においてもモビリティやクラウドをどうビジネスに取り入れていくのか、大きな注目が集まっていた時期だ。

 「中堅・中小企業のユーザーでもすぐに使えるDaaSを作る。ただし“安かろう悪かろう”ではなく、たとえばWindows Server環境が自社では用意できないようなユーザーでも、便利に使えるようなサービスにしたい」(原山氏)

ソネット 法人サービス事業部門 bit-drive事業推進部 ビジネス企画課 マネジャーの原山直樹氏

 ソリューションの骨格が固まり、開発プロジェクトが始動したのが翌2013年の1月。そして同年5月ごろから、ストレージ製品の選定が始まった。大手ストレージベンダーや新興ストレージベンダーが提供する複数の製品が候補となり、その1つとしてPure Storageのオールフラッシュアレイもあった。

ストレージ選定の“逆転劇”、インライン重複排除が決め手に

 導入するストレージ製品が決定したのは、2013年7月のことである。だが、実はこの時点では「Pure Storageではなく別ベンダーの製品を導入するつもりだった」と、Mobility Accelerationの技術面を担当する勝見氏は明かす。

ソネット 法人サービス事業部門 bit-drive事業推進部 技術1課 チーフの勝見吉朗氏

 そもそも、同ソリューションのストレージ選択において、ソネットが考える要件は「大きく2つだった」という。「十分なスループット(IOPS)性能」、そして「なるべく場所(ラックスペース)を取らないこと」である。

 仮想デスクトップ環境を運用するうえで問題となるのが、企業の始業時間などにユーザーアクセスが集中し、ストレージのスループットが低下する(=なかなかデスクトップが立ち上がらない)“ブートストーム”現象だ。DaaSの場合、パフォーマンスの低下はユーザー離れに直結するため、快適なサービスを提供できるだけの性能は欠かせない。

 また、ラックスペースの節約のために、重複排除機能を備えた製品であることも要件となった。特にDaaSの場合、多数のユーザーが同じデスクトップOSを使うため、重複排除を適用すれば大幅にデータ容量を削減できるはずだ。

 これらの要件とコストを勘案し、ソネットでは当初、ある新興ベンダーのハイブリッドストレージ製品を導入することを決定していた。高速なSSDと大容量のHDDを組み合わせた構成の製品だ。

 「しかし、試験運用の段階で、当社が想定していた重複排除とは異なるタイプの機能であることが判明した。この製品では、SSDキャッシュ上のデータにのみ重複排除が効く仕組みで、HDDも含めたストレージ全体に重複排除を適用するものではなかった。これでは将来的にディスク容量が膨らんでしまう」(勝見氏)

 一口に重複排除機能と言っても、データをいったんドライブに書き込んだ後に重複排除を適用するタイプ、データの書き込み段階でリアルタイムに重複排除を行うタイプ(インライン重複排除)など、さまざまな手法がある。容量削減効果や処理性能もまちまちだ。

 「そこでもう一度、候補製品の検討を行ったうえで、インライン重複排除機能を備えたPure Storageに切り替えることになった」(勝見氏)

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(→次ページ、データ圧縮率は8~10倍、本番環境で大きな効果を上げる

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