このページの本文へ

仮想化ベンダーならではのDevOpsツールも新たに投入

ハイブリッドクラウド管理を現実解にする「VMware vRealize Suite 6」

2014年10月16日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

10月15日、ヴイエムウェアはバルセロナで行なわれている「VMworld 2014 Europa」での発表について説明するイベントを開催した。インフラ・開発者向け製品で数多くのアップデートが発表されたほか、エンドユーザーコンピューティング向け製品でも拡張が施された。

マルチクラウドでの管理を実現するvRealize Suite

 仮想化技術のパイオニアとしてスタートし、エンドユーザーコンピューティングやクラウド分野にビジネスを拡大するVMware。今回のVMworld 2014 Europaの発表でもっとも大きいのは、ハイブリッドクラウド環境での統合管理を実現するクラウド管理プラットフォーム「vRealize Suite6」の強化だ。他社のハイパーバイザーやクラウド基盤、パブリッククラウドまで含めたマルチクラウド環境でも管理できるのが大きな特徴となっている。

ヘテロジニアスなデータセンターとハイブリッドクラウドの管理を実現するvRealize Suite6

 vRealize Suiteの強化で中心となるのは、「vRealize Operations 6.0(旧:vCenter Operations)」の投入だ。まず分析精度が向上し、たとえば、アラートも単なる事象の表示だけではなく、次のアクションにつながるアラートを出すことが可能になった。ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャの桂島航氏は、「仮想マシンはどうすれば直るかのノウハウをわれわれは持っている。こうしたノウハウを元に、『他のホストを移動する』『ゲストOSのシャットダウン』など具体的なアクションを指示できるようになった。障害をシンプルに修復できる」と語る。また、コンプライアンスの適用状況もベストプラクティスに則っているか、リアルタイムに点数付けすることが可能になる。

ヴイエムウェア マーケティング本部 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 桂島航氏

 また、vRealize Operations 6.0はアーキテクチャ自体もスケールアウト前提に刷新。従来比で8倍のスケーラビリティの拡張を実現するほか、データをサーバー間で複製し、自動的に保管することも可能になった。

 さらに、マルチベンダーでの統合管理がより進化した。VMware NSXやアリスタ、KEMPなどの仮想ネットワークのほか、VSANやiSCSI、NFSなどのストレージ、OpenStackのようなクラウド基盤、vCloud Air、AWSなどのパブリッククラウド向けの管理パックが提供される。さまざまなアプリケーションやストレージ機器、ネットワーク機器を単一のコンソールから統合管理できるようになった。

 その他、管理の自動化を実現する「vRealize Automation」、コスト管理を実現する「vRealize Business」、ログ分析を実現する「vRealize Log」も、vRealize Operationsの統合やGUIの日本語化などが図られた。

仮想化ベンダーならではのDevOpsツールを投入

 今回新たに投入されたのは、アジャイル開発とDevOpsのプロセスを管理できる「vRealize Code Stream 1.0」だ。ソフトウェアのデリバリプロセス(リリースパイプライン)を自動化すべく、テスト環境やステージングなどの仮想マシンの管理や進行の条件分岐などを管理できるという。「今まで、VMwareはどちらかというとインフラが強く、正直開発者向けの製品は弱かった。でも、開発者向けにも、われわれが提供できる強みがあると考えた」(桂島氏)とのことで、新しい領域に踏み出した製品になっている。オンプレミスでDevOps型の開発ができる点、クラウドとオンプレミスの橋渡しできる点が大きなポイントだという。

 コンプライアンス適合をSaaS型で提供する「vRealize Air Compliance」もβ版の提供が開始された(ただ、日本市場での提供は2015年以降)。パブリッククラウドのvCloud Airをオンライン申し込み・クレジットカード決済で利用できる「vCloud Air OnDemand」の展開もβ版に加えて、有償の早期プログラムを用意し、展開箇所も増加した。こちらの日本での展開は未定。

ローカル向けのHorizon FLEXやApp Volumesを発表

 エンドユーザーコンピューティング分野では、MacやPCのローカル向けの仮想デスクトップソリューションである「VMware Horizon FLEX」が投入されている。これにより、データセンター向けの「VMware Horizon 6」、クラウド向けの「Horizon Air」の3つの仮想デスクトップソリューションが用意されることになる。

 さらに先日買収したCloudVolumesのソリューションを「VMware App Volumes」に改称した。VMware App VolumesはOSやハードウェアに依存せず、アプリケーションをユーザーごとにリアルタイム配信するコンテナ技術を提供する。共通のOSプールやアプリケーションスタックを利用しつつ、ユーザーごとに書き込み可能なボリュームを割り当てることで、パーシステンス(永続性)のある仮想デスクトップを実現。ストレージ容量を節約できるほか、ユーザーごとのデスクトップやデータ更新にも迅速に対応できるという。

アプリケーションをユーザーごとにリアルタイム配信するコンテナ技術を提供するVMware App Volumes

 VMware App VolumesはVMware Horizon Enterpriseのコンポーネントとして無償提供される予定。日本市場での提供は2015年第1四半期を予定している。

■関連サイト

カテゴリートップへ