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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第112回

SamsungのAndroid事業から10億ドルを得ていたMicrosoft

2014年10月15日 11時00分更新

文● 末岡洋子

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香港で仲裁を求めたSamsung

 ここでSamsungの主張を見てみよう。Samsungがライセンス料支払いを停止した理由は、Microsoftが合意に違反したためとされている。具体的にはMicrosoftによるNokia買収で2011年の合意に含まれるビジネスコラボレーションに反するというのだ。MicrosoftはNokia買収を通じてNokiaの特許も取得している。そしてNokiaは2013年11月にSamsungと特許クロスライセンスを結んでおり、Samsungから特許ライセンス料の支払いを受けていた。これが物事を複雑にしている可能性がありそうだ。

 この係争について口を閉ざしていたSamsungだが、Microsoftによる690万ドル支払い要求の後に、国際仲裁裁判所の香港支局で仲裁を求めたことが明らかになった。

 Samsungは先に第3四半期(2014年7~9月期)の業績予想として営業利益が前年同期比約60%減収となる見通しを明らかにした。Androidの特許攻防、そしてGoogle依存からの脱却といくつかの戦略的意図を持つモバイルOS「Tizen」が進まない中、このままではNokiaと同じように低迷の一途をたどるかもしれないなかで、特許係争で足を引っ張られたくないだろう。仲裁を短期に終わらせたいところだろうが果たしてどう進むだろうか。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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