新しいガイドラインが発表された
ユーザーのニュースフィードを巧みに操作し社会実験を行ったことで激しい批判を浴びたフェイスブックが、その実験手法を変えようとしている。
同社は2014年10月2日、無断で行った「情動伝染の実験」の手法について非を認め、ガイドライン、審査方針、研修の導入を含めた新たな枠組みに加え、同社の学術調査専用の研究サイトを新たに開設したことを明らかにした。
今年6月、肯定的・否定的な投稿が、フェイスブック・ユーザーの気分に影響を及ぼすかどうかについての実験において、どのようにニュースフィードを使用したかの詳細を論文で発表した。約70万ものユーザーが、知らず知らずのうちに実験に参加していたのだ。実験結果が公表されると、フェイスブック・ユーザーと学術・科学コミュニティーは怒りを露わにした。
その際フェイスブックは、「データの使用に関するポリシー」内で個人データが研究者と共有されることについて明記せず、無断で実験を行っていた。そのため、電子プライバシー情報センター(EPIC)は、研究の公表をきっかけに米連邦取引委員会(FTC)に苦情を申請した。
フェイスブックのマイク・シュレーファー最高技術責任者(CTO)は、研究報告書が発表された際の厳しい怒りの反応は予測していなかったとブログ内で語っている。彼が指摘したように、フェイスブックは、ユーザーと上級幹部の両方が納得するような他の非実験手法がないかもう一度実験自体の見直しを図る、という措置を怠るべきではなかったのだ。
フェイスブックなどのオンラインサービスは、世界の動向について詳しく理解するのに役立つため、技術発明の共有を目指して学会に従事し、論文審査のある専門誌に発表することは重要であるのは確かである。
シュレーファーは、新ガイドラインや審査方針の詳細については詳しく触れていないが、水曜日に発表された新たな枠組みには、内部調査と外部調査の両方が含まれるとしている。
研究は続けられる
同社は、前回の実験で批判を呼んだ最大要因の一つである、ユーザーとのインフォームド・コンセントについては、何もコメントを残していない。現在「データの使用に関するポリシー」には、ユーザー情報が研究に使用される可能性を記載するようになった。しかしニュースフィードに表示される投稿によって気分が左右されるかといった情動伝染の実験に巻き込まれた689,003人のユーザーには、そういった通知は一切されてなかったのである。そして、滅多に読まれることのない「データの使用関するポリシー」にユーザーが同意し続けるのならば、単にフェイスブックを使用しているだけで今後の研究に対しての十分な同意を得ているということになりそうなのである。
言うまでもなくこの研究は、相次ぐ批判を受けたが、逆にフェイスブックが行った実験に対して少数の支持者も存在していた。その中には、出会い系サイトのOkCupidやベンチャー資本家、フェイスブック取締役メンバーのマーク・アンドリーセンといった顔ぶれが含まれている。
フェイスブックの研究が発表された直後に、OkCupidは自社の研究を公開した。同社はマッチングを操作し、実際にそのカップルが上手くいくかどうか調査していたのだ。フェイスブックを支持するために大々的に実験の主張をしたのだが、OkCupidの研究はA/Bテストに少しだけ毛が生えたようなものであった。
顧客に対して優れた商品や機能、サービスを提供するために、会社がユーザーに対して定期的に実験を行うのは珍しい事ではない。フェイスブックは、将来的にはより慎重になると言ってはいるものの、実際のところ、フェイスブックの社会的実験の実験対象になるのを防ぐには、フェイスブックを完全に止めてしまうこと以外ないだろう。
トップ画像提供:Dimitris Kalogeropoylos(Flickrより)
Selena Larson
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら