“クライアント/サーバーシステムをインターネットで”「Visual WAO」
WindowsフォームアプリをWeb化、チェプロが開発ツール発売
2014年10月06日 06時00分更新
ソフトウェアベンダーのチェプロは9月29日、Windowsフォームアプリケーションをインターネット経由で利用可能にする開発ツール「Visual WAO(ビジュアルワオ)」を提供開始した。既存のクライアント/サーバー(C/S)アプリケーションも、そのままの操作性で容易にインターネット対応へと再構成できる。システム開発/検証用ライセンスは無料で提供する。
Visual WAOは、Windowsフォームをインタフェースに用いながら、インターネット環境で動作する3階層システム(クライアント/アプリケーションサーバー/データベース)を開発可能にするツール。既存のアプリケーションも含め、「Visual Studio」と.NETフレームワーク(VB.NETやC#)で開発されたアプリケーションを、クライアント側/アプリケーションサーバー側に分割し、数行の固有コードを追加するだけでインターネットに対応させることができる。
クライアント/サーバー間の情報交換はデータ項目単位でリアルタイムに行われるため、社内LAN環境に匹敵するレスポンスを実現する。また、Windowsフォームを利用するため、Webブラウザベースのアプリケーションでは難しい、業務アプリケーション上でのキー操作(TabやCtrl、Fnキーなど)による値の連続入力などが可能。既存の.NETアプリケーションを再構成する場合も、ユーザーインタフェースが変わらないため、ユーザーの再教育が必要ない。
ライセンス価格(税抜)は、クライアント側の同時アクセスライセンスが16万円(同時アクセスス10台)から。サーバー側は物理/仮想/クラウドの3種類があり、物理サーバーライセンスの場合は100万円(1CPU)から。なお、開発ツールのライセンスとクライアント3台の実行ライセンス、サンプルプログラム、マニュアルをパッケージした「開発キット」は、同社サイトで無料提供されている。
なおVisual WAOの基礎技術は、チェプロが2008年から販売している建設業向けERP「建設WAO」で培われたもの。この技術を切り出し、特許を取得したうえで今回、独立した製品としての販売を開始した。
既存業務アプリのモジュールを再利用、コストと期間を大幅圧縮
チェプロ 代表取締役社長の福田玲二氏は、既存の.NET業務アプリケーションをインターネット対応させたい場合に、Javaで一から再開発するのと比較して大幅にコストや期間を短縮できるメリットを強調した。
福田氏が紹介した大手製造業の事例では、各生産拠点で利用してきた品質管理システムを本社に一本化するプロジェクトでVisual WAOを採用。Javaによる再開発では数億円のコストがかかる見込みだったが、過去のVB資産を活用しVisual WAOで対応した結果、大幅に更改コストを圧縮できたと述べた。
また、インタフェースやグラフ、グリッドなどの既存コンポーネントはそのまま利用できたため、「エンドユーザーはWebシステムに変わったことすら気づいていない」(福田氏)ほどだという。