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テクノロジー虎の穴 第5回

誰でも直径45mのパラボラアンテナを堪能できるオープン型観測所

電波で宇宙を眺める巨大望遠鏡の群れを撮ってきた~国立天文台 野辺山

2014年10月09日 13時00分更新

文● 林 佑樹

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45m電波望遠鏡の根っこ

 45m電波望遠鏡の角度を変更するためのゴツい歯車。それは遠くからでも確認できるが、接近してみるととても無骨だった。

 見学ゾーンにある電波望遠鏡のミニチュアで遊んでみるとわかるが、天体からの電波を受信するにはシビアな調整が必要で、歯車単体では微細なズレがあるため、双方向から歯車を回して緻密な制御を実現している。

 また複数の水平水準器でセンサニングしている点もチェックポイントだ。構造としては建造当時から変化していないが、細かい部分ではやはりバージョンアップを行なっているとのこと。

見学ゾーンにある電波望遠鏡のミニチュア。方角を合わせるとちゃんと受信をするが、ものすごく微調整が必要

巨大な歯車で角度を調整している

水平水準器が複数……と思いきや、これらは減速機に取り付けられている潤滑油の流量計とのこと

支柱も1つ1つ太い

あまり見たことのない絵だったので

遠くからでも判別できるようなパーツは、近くで見ると妙な迫力があった

コリメータータワーにははしごがあり、さらに上に行けるとのことだが、今回はそのチャンスはなし。ちなみにコリメータータワーは完全に独立しており、望遠鏡の移動の影響を受けないのだとか

ワイヤレス環境はナシ! スマホも電子レンジもご法度だ!

 45m電波望遠鏡を制御する施設「45m鏡観測棟」は、電波望遠鏡のほぼ真後ろにあり、コンピューターでリモート操作を行なう。

 OSのほとんどはLinuxを採用。特筆すべきことに、マウスやキーボードのすべてがワイヤードになっているほか、ミーティングスペースにも有線LANのハブが用意されていた。これは観測の障害となるため、ワイヤレス環境を使用できないためだ。

 さらに、白物家電がひしめく待機室にも電子レンジだけがなく、代わりにオーブンが用意されているなど、現状のPC環境と比較すると、意外にもレガシーな状態だった。もちろん、施設内の連絡も有線電話を使用している。

45m電波望遠鏡を見ながら作業できるレイアウトになっている

長く使用している計測機器が多いとのこと

ものすごく懐かしいマウスパッドが(笑)

FMV-5166DBは現役

SONY製DMS(Digital Mass Storage System)も

厳密な時刻管理が必要であるため、水素メーザー原子周波数標準器も設置されている

ところどころに懐かしいものが転がっている件について

最近導入されたデジタル分光計

研究時期になると24時間体制になるため、仮眠室も完備。目覚まし時計は2つ

電波天文業務の用に供する受信設備の指定書には、受信しようとする電波の形式及び周波数の項目があり、最近ではスマホ・ケータイとの周波数帯と被る部分もある。キャリアに対して、研究所周辺のアンテナ配置でお願いすることもあるそうだ

電波を観測するため、ワイヤレス環境はナシ

施設内の電話も当然ワイヤードだ

マウスもキーボードもワイヤード

電子レンジの代わりに、オーブンが用意されている

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