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MSナデラCEO、「日本にコミットメントしている」—Office 365 Solo/Office Premium発表会

2014年10月01日 20時00分更新

文● 小山安博

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米Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏

 日本マイクロソフトは1日、サブスクリプションタイプのOffice製品である「Office 365 Solo」「Office Premium」を発表し、17日から提供を開始する。米MicrosoftのCEOに就任して以来、初めて来日したサティア・ナデラ氏は、「日本にコミットメントしている」と強調。「モバイルファースト、クラウドファースト」という同社の戦略にもとづき、今後もビジネスを強化していく意向を示した。

Office 365 Soloなど、4つの製品・サービスを発表

 Office 365は、WordやExcel、PowerPointといった同社のOffice製品を、サブスクリプション形式で使用するためのサービス。これまでビジネスユース向けのサービスが提供されていたが、新たに個人向けサービスとして「Office 365 Solo」を開始する。

「日本市場に特化した」というOffice 365 SoloとOffice Premium

 米国では、家庭向けに「Office 365 Home」を提供しているが、これとは異なり、「本社との強い連携で日本市場向けに作った」と日本マイクロソフトの樋口泰行社長。「個人」にフォーカスしたのが特徴だ。

 Office 365 Soloは、WordなどのOffice製品の利用が可能なのに加え、OneDriveのストレージ1TB、Skypeの一般電話向けの音声通話(日本向けの発信は固定通話のみ)が毎月60分付属しており、さらにテクニカルサポートも利用できる。また、Office Mobile for iPhone、Office Mobile for Androidでの商用利用権、2台までのOffice for iPadでの利用が可能。

Office 365は、最新版のOfficeと4つのサービスが付属する

 個人向けのため、1つのMicrosoftアカウントに紐付いており、1アカウントで2台までのWindows/Macマシンで利用できる。Office for iPadも2台までなので、PC2台、モバイル2台で利用できる、という形になる。

 年間契約のみで、年額1万1800円でOffice製品、サービスが利用でき、契約期間中にOfficeがアップデートした場合は、無償でアップグレードできる。

 Office 365 Homeでは、「家庭内のPC5台まで」という制限で、家族5人で1台ずつ、別のアカウントで共有できたが、日本では1人で2台以上持つユーザーは少なく、ボリュームゾーンのユーザー層と価格帯のバランスを取って、「1人でPC2台まで」の制限となる「Solo」を提供するという。Homeとは異なり、商用利用も可能な点は大きな違いだ。

 1アカウントごとの契約になるため、家族で複数のデバイスを持ち、家庭の一人一人がそれぞれアカウントを持っている場合は、アカウントごとに契約する必要がある。2台以上のPCで利用したい場合、「サービスを利用するデバイス」のオンオフもできるので、その都度切り替えて、複数の端末でサービスを利用することは可能だ。

 Office Premiumは、「Office Personal Premium プラス Office 365 サービス」「Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス」「Office Professional Premium プラス Office 365 サービス」の3つのエディションを用意。これまでのOffice製品と同様、利用できるソフトウェアの違いでエディションが分かれており、例えばPersonal PremiumではWord、Excel、PowerPointが含まれている。

Office Premiumは、Office製品に加えてOffice 365のサービスも1年分付属する

 Office 365 Soloと同様のサービスの1年間利用権が含まれており、1TBのOneDrive、毎月60分のSkypeの音声通話利用権、テクニカルサポート、モバイルデバイスでの利用が、1年間利用できる。2年目以降は、年間5,800円で期間を延長してサービスを継続利用できる。プリインストールの場合、ライセンスはデバイスに紐付くため、「デバイスが壊れるまで利用できる」(同社)。ライセンスが有効であれば、Officeの新バージョンが出たら無償で更新できる。

 Office Premiumは、17日以降、メーカーPCのOfficeプリインストールとして搭載されるほか、店頭での購入も可能になる。この場合、ライセンスを購入し、インターネット経由で製品のインストールを行なう。

 樋口社長によれば、日本市場では「PCの出荷台数に対してOfficeの出荷数を計算してみると、ほぼ100%(正確には94.1%)のPCに搭載されている」と紹介。「(Windows)PCを使っているほぼ100%の人がOfficeを使っている世界でも類を見ない市場」(樋口社長)であり、この特殊な市場に最適なプランを調査し、今回のSoloの提供に繋がったという。

樋口泰行社長

日本ではほとんどのPCにOfficeがインストールされている

 米国では、すでにOfficeユーザーの30%以上がOffice 365に移行しており、全世界では毎四半期ごとに100万以上のユーザー数の増加となっているそうだ。今回のSoloの提供で、日本でもOffice 365ユーザーを拡大したい考えだ。日本市場に特化したとはいえ、中には2台以上のPCで利用したいというユーザーもいるだろう。今回は最初のリリースということで、今後ユーザーの声を聞きつつ、必要であれば変更することも想定しているようだ。

 モバイル向けでは、現在、Office MobileとしてiPhone版、Androidスマートフォン版があり、海外ではより高度な機能を備えたOffice for iPadがリリースされている。年内にも日本語版を提供する予定だ。

年内提供予定のOffice for iPadのExcel。リボンUIを採用し、PCのような作業ができる

グラフにタッチするとグラフ用のメニューが表示されるなど、PC版に近い操作性

こちらはWord。再現性を含む互換性は担保されているという

PowerPoint。スライドショーだけでなく、外部ディスプレイ接続時に、iPad側だけ表示を変える「発表者モード」も搭載

 なお、iPhone向けとAndroidスマートフォン向けは台数無制限で利用できるが、iPad版は2台までの利用制限が設けられている。「モバイルファースト」をアピールする同社だが、Androidタブレットには対応しておらず、現時点では「コメントできるものはない」(同社)。とはいえ、樋口社長は「iPad以外にもサービスを強化していきたい」とコメントしており、今後の展開に期待したい。

Surface Pro 3も17日以降、Office Premium搭載に変更。さらにCPUにCore i3を搭載し、10万円を切る低価格モデルも投入する

 外遊中のナデラCEOは、今回の発表にあわせて発表会に登場し、「生産性」と「プラットフォーム」という2つの「コア」を実現するための「モバイルファースト」「クラウドファースト」という戦略を強調。日本市場でも、この戦略を通して製品やサービスを展開。「マイクロソフトは今も前進を進めており、製品のイノベーションを日本人にも使ってもらいたい」とアピールした。

「モバイルファースト」「クラウドファースト」の戦略を説明するナデラCEO

 なお、米Microsoftは9月30日に次期OSの「Windows 10」を発表したばかりだが、今回は日本向けOfficeの発表会ということで、時期Windowsに関しては特に触れられなかった。


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