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ソニーのハイレゾワールド第二章! 進化したヘッドフォンを検証!! 第2回

絶妙なバランス! 6万円のソニー最上級ヘッドフォン「MDR-Z7」を検証

2014年10月01日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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兄弟モデルながらも音の傾向には
少々違いがある「MDR-1A」

ハウジングを回転させて平らにできる「MDR-1A」。持ち運びに便利

 続いては、MDR-1A(10月24日発売 予想実売価格 3万円前後)。従来モデルとなる「MDR-1RMK2」が評価の高いモデルだったので気になっている人も多いだろう。

 基本的なデザインなどはほぼ変わらず、カラーバリエーションとして従来と同じ赤をアクセントに加えたブラックに加え、イヤーパッドとヘッドバンド部をブラウンとした2種類を用意している。

MDR-1R(左)とMDR-1A(右)を並べてみた。振動板の色が変わっていることがわかる(アルミニウムコードのため)。イヤーパッドの形状もずいぶん違う

MDR-1R(左)とMDR-1A(右)を並べてみた。振動板の色が変わっていることがわかる(アルミニウムコードのため)。イヤーパッドの形状もずいぶん違う

ハウジング側からMDR-1R(左)とMDR-1A(右)を並べたところ。デザインはほぼ同じだが、ハウジング部分の表面処理が異なる。MDR-1Aではシボ加工のような仕上げとなる

ハウジング側からMDR-1R(左)とMDR-1A(右)を並べたところ。デザインはほぼ同じだが、ハウジング部分の表面処理が異なる。MDR-1Aではシボ加工のような仕上げとなる

 こちらもコードは着脱式だが、片側出しとなる。別売の専用コードでバランス接続に対応するため、左右の端子のプラスとマイナス(グランド)の配線が独立している(アンバランス接続の場合は、コード部分で左右のグランドが1本に合流する)。

装着イメージ。安定感が向上している

装着イメージ。安定感が向上している

 デザインがほぼ同じなので、装着感も同じかと思いがちだが、イヤーパッドの形状が変更されており、MDR-1RMK2と比べると下側が厚みを増した形状となっている。

 これが、外観的部分の大きな違いでもある。このため、装着してみると、耳の下側の密着感が高まっていると感じる。ハウジングの下側から支えているような装着感で、より安定した感じになる。もちろん、音漏れや遮音性に優れているのはMDR-Z7と同様だ。

 こちらも通常のアンバランス接続で聴いてみたが、特徴的なのは低音の力強さ。キレ味の鋭いパワフルな鳴り方で、ジャズのリズムをパワフルに刻む。低音のパワー感だけに限って言えば、MDR-Z7よりも優れていると感じるほどだ。

 中高音域はやや穏やかな聴きやすい音色だが、なめらかできめの細かい再現で、演奏のニュアンスの違いなどがよく出る。

 ボーカル曲を聴くと、クリアでニュアンス豊かな声で、わずかに付加されたエコーも丁寧に描き分けている。再生周波数帯域が100kHzまで伸びたという割には、ちょっと聴くと逆に高域が穏やかになっているとさえ感じるが、高域の伸びは自然でのびのびとしたもので、実に上質。不自然に高域を誇張せずに自然な音色になっている。このあたりは、MDR-Z7にも通じる美点だ。

 低音がブ厚いパワフルな鳴り方をするため、ロックやポップスを中心に聴く人ならば、むしろMDR-Z7よりも好ましいと感じる人もいるはず。MDR-Z7に近いバランス志向の忠実感のある鳴り方をしていたMDR-1RMK2とも大きく音色が異なるので、ぜひ聴き比べてみるといいだろう。

デジタルアンプ内蔵で高域も元気がいい!
「MDR-1ADAC」

MDR-1ADACも、持ち運びのためにハウジングを回転できる

 MDR-1ADAC(10月24日発売 予想実売価格4万円前後)は基本的に、MDR-1Aにフルデジタルアンプ「S-Master HX」などを内蔵した点が異なり、操作ボタン類を除けばデザインなども共通の兄弟モデルだ。

左側にボリューム、右側に電源ボタンと各種入力端子、充電用microUSB端子を装備する

左側にボリューム、右側に電源ボタンと各種入力端子、充電用microUSB端子を装備する

 しかし、音質には結構な違いがある。MDR-1Aとの違いで言うと、穏やかだった高域が強めの元気のよい鳴り方で、全体に華やかな傾向になる。

装着イメージ。MDR-1Aよりはやや重め

装着イメージ。MDR-1Aよりはやや重め

 逆に低音はやや控えめでキレ味の良さは共通するものの、パワー感はやや控えめでステージの広がりや雄大さはややコンパクトになった印象。

 デジタル接続して聴いてみると、元気のいい音がよりダイナミックになり、レスポンスの良さも際立つ。スピード感のある再現で、S/Nが向上するせいか解像感も高まっていると感じる。

 DSD音源はPCM変換となるため、柔らかな感触がややエッジの立った音に感じる部分もあるが、PCM変換による音質の変化だけでなく、キレ味の良さが際立ったデジタル接続自体が高解像度型の傾向になるため、DSD音源では余計にそれを感じやすいと思う。

 MDR-1Aとの音質の違いは、おそらくはこのUSB DACとデジタルアンプに合わせたチューニングとなっていることが最大の理由だろう。デジタル接続の高S/N、高解像度を存分に引き出した結果、中高域に厚みのある勢いのいい音になったと思われる。

 MDR-1ADACは、ヘッドホンにUSB DAC機能を内蔵したことで、ポタアンなどを使わずに携帯プレーヤーやPCとデジタル接続ができる。不要な機器が少なくなるので、シンプルに使いたい人には注目だろう。

 ここが最大のポイントだし、音の違いの要因でもあるので、MDR-1AとMDR-1ADACもじっくりと音を聴き比べてから選ぶがのオススメだ。

アナログ音声入力も装備し、通常のヘッドフォンとしても使える。ただしその場合はフタを開けなければならない……

次ページへ続く、「バランス接続って何?

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