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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第42回

「ATOK for iOS」の開発者に聞いた6つのコツ

2014年09月23日 14時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura

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ATOK for iOSを使ってiPhone 6 Plusで文字入力をするジャストシステムの入江氏。キーボードが左右に寄っているため、片手でのフリック入力もしやすくなっている

 ついにiOS向けにATOKがリリースされました。AppleはiOS 8で対応したサードパーティーキーボードに対して、日本人がこれだけ過剰反応することに対して、正確に理解してくれているでしょうか。

 もしそうであるならば、Bluetoothキーボードでの利用や、文字入力をカーソル位置に表示する(インライン入力)といった、iOS標準の文字入力に閉じた仕様について、早く改善してくれることを期待します。しかしともあれ、まずはiOSでもATOKが使えるようになったこと対して、素直に歓迎したいと思います。

ATOK for iOS App
価格1500円 作者JUSTSYSTEMS CORPORATION
バージョン1.0.1 ファイル容量68.4 MB
カテゴリーユーティリティ 評価(2.5)
対応デバイス全機種 対応OSiOS 8.0以降

筆者の入力デバイスへの愛情

 筆者はキーボードやマウス、トラックパッドなど、入力デバイスに対して、やや強すぎる興味を持っています。スマートフォンは、入力デバイスがマルチタッチディスプレーになり、デバイスそのものが入力デバイスのような存在になったせいか、よりいっそう愛情を持って利用しています。

 ケータイの頃からそうでしたが、よりスピーディーに正確に入力できるようになることにこだわり、それこそケータイにATOKが搭載されている機種を試したり、2タッチ入力(ポケベル打ち)に対応するケータイを慎重に選んだりしていたのが懐かしい思い出です。

 スマートフォン時代になって、モバイルデバイスがハードウェア(組み込み)からソフトウェアの進化へと舵を切ったにも関わらず、iPhoneは文字入力に関して、そのカスタマイズ性などを実現してきませんでした。今回お話を伺った、ジャストシステムで開発を担当する入江賢治氏も、iOSのキーボードの自由度の低さからAndroidを選ぶ時期があったと言います。

 なぜこれだけ文字入力にこだわるか、という理由は、本連載でも触れてきた通り、まだまだ文字を中心としたコミュニケーションの領域が大きいからでしょう。LINEやSMS、メール、Twitterなど、基本的に文字に依存しながらのコミュニケーションが続いています。

 大きな必要性がそこに眠っているからこそ極めたい。ともすれば、文字を書く仕事という職業病的な部分もあるかもしれませんが。

iPhone 6 Plusの左右寄せテンキー秘話

 ATOK for iOSは、パソコンのATOKと同様のATOK EV Engineを搭載したとのことです。変換スピードや精度、校正支援などの機能を、これまでのスマートフォン向けのATOKとは異なるレベルで搭載した、妥協のない性能を誇るそうです。

iPhoneの場合は、右または左に寄せられてテンキーが表示される

 ただ、6月のWWDC14でiOS 8でキーボード拡張が実現するとの情報を得てからリサーチを始めたことから、開発期間は「実際のところ、非常に短かった」(入江氏)そうで、仕上がりによっては批判があってもリリースを延期するかもしれないというほど、スケジュールは逼迫した状況だったそうです。

 そんななかで、開発に1つの問題があったそうです。それは、iPhone 6 Plusでのメモリー問題。

 ご存じの通り、iPhone 6 Plusは画面サイズが1920×1080ピクセルに拡大されています。そこに起因して、iPhone 6などと同じサイズのキーボードを描画してしまうことで、メモリー不足に陥る事象があったそうです。そのためテンキーのサイズを小さくする必要があったため、幅寄せして移動できるようにしたとのこと。

 しかし、そのおかげで筆者は、右手でiPhone 6 Plusを持ってフリック入力をすることができるようになったのです。テンキーを小さくした理由の部分は何とかしたい気がしますが……。

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