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スマホが日本の農業を救う

2014年09月25日 07時00分更新

文● アスキークラウド編集部

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このままでは日本農業は消滅してしまう──「農林業センサス」によると、1995年に59.6歳だった基幹的農業従事者(主な仕事として農業に従事する人)の平均年齢は、2013年には66.5歳に到達。肉体労働も多い農業にとって高齢化の進行は深刻であり、いかに若者を農業へ取り込むかは喫緊の課題だ。

hototo

農業生産法人hototoの水上 篤代表取締役は、米国での起業経験もある異色のキャリア

しかし農業といえば職人的な家業の世界。本業として従事する敷居は高く、バイト感覚の延長で気軽に手を出せるものでもない。農業生産法人hototo代表取締役の水上 篤氏は、こうした状況をICTの力で打破するべく取り組みを進めている。

「農業従事者が減少したときに何で担保するのか。今はスマートフォンがあるので、昨日やって来た人が、今日は一人でまぁまぁ働ける仕組みを作れます」(水上氏)

hototoでは、日報や情報発信にFacebook、デジタルデータの管理にDropbox、マニュアルの作成にTeachme Biz、スケジュール管理にサイボウズと、さまざまなデジタルツールを導入している。農業にデジタルツールを導入できるようになった理由は、スマートフォンの登場。「片手に鍬、片手にスマホ」という状況で働けるからだとういう。

例えば、さまざまな工程をTeachmeでマニュアル化してあるため、初めて取り組む人でもマニュアル通りに進めればある程度は作業をこなせる状況になる。マニュアルは細かな工程ごとに写真と簡単なキャプションが付いているスタイルで、スマホで説明書を読みながら実際に作業をするため「こういう場合はこう、こういう場合はこう」と理解でき、新しい課題に直面したときは経験豊富な人間が自分の作業をマニュアルとしてアップデートしていく。こうすることで、パートタイムの若者も労働力として組み込めるわけだ。

「農業で食べていくことはそんなに難しくないんですよ。単に自分が食べるためだったら2週間で1日働けばいいくらいの割合。あとの13日間は何をしようかな、と(笑)」(水上氏)

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とにかく写真を撮ることも大事で、スタッフが撮った大量の写真を見れば「百聞は一見にしかず」の「一見」をスマホで実現できるのだという

日本の農業用地はその40%を小さく分断された中山間地域が占め、欧米のような大規模な農地に大がかりな機材を導入できるわけではない。hototoが実践するような、誰でも利用できるICTの活用が日本の中山間地農業を救うかもしれない。


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