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2015年後半のSkylake世代のPCが見えた! ディスプレイも無線に!?

2014年09月17日 10時00分更新

文● 塩田紳二

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 2015年後半に登場予定のインテルの次世代プロセッサ、Skylake。基調講演ではその出荷時期が示されただけだが、その後のPCクライアント担当のカーク・スカウゲン氏の「メガセッション」などで、Skylake世代のPCをインテルがどう考えているのかがある程度ハッキリしてきた。

Skylakeを搭載した2-in-1プロトタイプ

Skylake世代のPCは「No Wires」「No Passwords」
「Natural User Interface」

 インテルはCPUだけでなく、無線LANなどの通信デバイスを指定したプラットフォーム、そして「リファレンス設計」(いわゆる回路図など)などを、PCメーカーに対して提供する。さらに、リファレンス設計を使い、具体的なPCのプロトタイプを開発し、プラットフォームデザインとして、PCメーカーに提案を行なっている。

PCクライアントの説明を行ったカーク・スカウゲン氏

 リファレンス設計の段階でマザーボードや主要なパーツなどが決まり(決まらないと回路を設計できない)、プラットフォームデザインでは、内部や外部デザインなども具体的に示される。ただ、2-in-1マシンを構成するような場合、本体とキーボードをどのような機構で接続するのか(回転角の大きなヒンジを使うのか、分離してコネクタで接続するのか)といった部分に関しては、複数のデザインが示されることもある。

 プラットフォームデザインを採用すると、マザーボード外の多くの部品なども大量に出荷されることが前提になるため、調達コストが低くなる可能性があり、また、デバイスドライバなどに関してもインテル経由で入手可能となるため、PCメーカーは開発費や部品代などのコストを下げることが可能になる。実際Bay Trail系のプロセッサを採用するWindowsタブレットなどは、マイクロソフトのライセンス料ゼロ施策(Windows 8.1 with Bing)の影響もあるが、200ドルを切るような価格帯で販売が可能になっている。

 スカウゲン氏のセッションでは、Skylakeのモバイル向けのプロセッサを搭載したハードウェアは、2-in-1であるとされ、さまざまなデモに利用された。こうした部分から、Skylake世代のプラットフォームデザインの概要がはっきりしてきた。

ヒンジの可動角が大きく、液晶とキーボード側が背中合わせになるまで開くことができる

 その方向性を示すスライドが下の写真なのである。つまり、「No Wires」「No Passwords」「Natural User Interface」の3つがSkylake世代のプラットフォームデザインのコンセプトと言える。

Skylake世代のPCクライアントのコンセプトは3つ。「No Wires」「No Passwords」「Natural User Interface」

 というのは、これらのデモのいくつかが、Skylake搭載の2-in-1プロトタイプで行なわれていたからだ。このままではないかもしれないが、少なくともこれをベースにしたものがプラットフォームデザインとしてPCメーカーに提示されることになると考えられる。では、個々の項目と関連するデモを見ていきながら、具体的な機能などを考えていくことにしよう。

2015年はディスプレイと充電がワイヤレスに!?

 「No Wires」とはディスプレイやデータ転送、充電などに使われるケーブルを廃止するという意味だ。スカウゲン氏は、ACアダプタやディスプレイケーブル、USBケーブルなとが絡まったものを見せ「このようなものが私のカバンには入っている」として、これを投げ捨て、このようなケーブル類が今後不要になることを示した。

 No Wiresのデモとしては、ワイヤレスディスプレイとワイヤレス充電が行なわれた。このうちワイヤレス充電に関しては、インテルがこれまで推進してきたWiDi(Wireless Display)と、2015年にもデバイスが登場するWiGigの2つがあった。このうちWiDiに関しては、PC側はインテル製CPUに加えて、インテルかブロードコムの無線LANがあれば対応が可能で、特にハードウェアは必要とされていない。

 WiGigは、最大7Gbpsという高速伝送が可能な無線通信の仕様で60ギガヘルツという高い周波数を利用する。直進性が高く、通信距離は無線LANのように長くはないが、動画のリアルタイム伝送や高速データ転送が可能になる。

WiGigはインテルが推進する高速無線通信の仕様。60ギガヘルツと高い周波数を使うのが特徴。また、WiGigによる接続性などについては「Open Interconnect Consortium」で標準化を計画している

 インテルは、WiGigを推進する団体の幹事会社を務め、さらに接続性などに関しては、OPEN Interconnect Consortiumで標準化を行まう予定だという。主な用途として、モバイルPCとドッキングステーションの接続とコンピュータ間のデータ転送。ワイヤレスディスプレイは、ワイヤレスのドッキングステーションの機能の1部として実現されている。WiGigについては、すでに過去のIDFでもデモが行われているなど、インテルとしても長い間、実現に向けて努力してきた製品の1つ。ようやくSkylake世代で製品になりそうだ。

 もう1つの「No Wires」は、ワイヤレス充電だ。インテルは、A4WP(Alliance for Wireless Power)という団体に参加し、そのrezenceというワイヤレス充電方式を採用する。

rezenceは、A4WPが提唱するワイヤレス充電の仕様。磁気共鳴方式を採用する

rezenceには、インテルやクアルコムをはじめ多くのメーカーが参加している

 rezenceは、もともと米国のWireless Power社が開発した技術で、同社をクアルコム社が買収、A4WPを立ち上げた。インテルのほか主要なPCメーカーなども参加しており、携帯電話などで先行する他のワイヤレス充電方式を追いかける。

 rezenceは「磁気共鳴」と呼ばれる物理現象を使って電力を伝達する。この方式は、国内でも製品が登場しているワイヤレス充電技術Qiが使う「電磁誘導」と似ているものの、磁場の方向を合わせなくて良い、電磁誘導よりも長い距離で伝送できるというメリットがある反面、伝送効率は電磁誘導よりも落ちるというデメリットもある。

 セッションで、WiGigとrezenceのデモに使われたのが、実はSkylakeが動作しているという2in1のプロトタイプだった。おそらくは、Skylake世代の標準プラットフォームには、WiGigとrezenceが取り込まれていると考えられる。

WiGigによるワイヤレスディスプレイのデモ。手前にあるのがSkylakeプロトタイプ

開発中のWiGigモジュール。無線LANモジュールのように部品化して、モバイルPCへの組み込みを容易にできる

rezenceによるワイヤレス充電モジュールを組み込んだスマートフォンの背面カバー。A4WPにはSamsungも参加している


(次ページでは、「パスワードレスのユーザー認証やNatural UIの時代!?」)

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