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「Cisco Mobile Workspace Solution with Citrix」の真価を探る

シスコとシトリックスが目指すセキュアで持ち歩ける仕事環境

2014年09月18日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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「どんな場所でも、どんなデバイスでも、仕事ができる」という理想を実現すべく、シスコとシトリックスが手を組んだ。BYODやVDI、モバイルワークまでを包括的に提供する「Cisco Mobile Workspace Solution with Citrix」について両社に話を聞いた。

妥協しないモバイルワークスペースの実現へ

 Cisco Mobile Workspace Solution with Citrixは5月に開催されたCitrix Synergyで発表され、日本でも7月に共同でリリースされている。その概要は、アプリケーション、アプリケーションデリバリ、モバイルポリシー、インフラの4分野で両社の製品を組み合わせ、「モバイルワークスペース」というコンセプトを包括的に提供するというものだ。

 では、モバイルワークスペースとはなにか? シスコシステムズの財津健次氏は、「BYODで単に私物デバイスを仕事に持ち運ぶというではなく、アプリケーションとユーザー体験を持ち運ぶというコンセプト。お客様の柔軟な働き方をサポートするもの」と語る。デバイスではなく、エキスペリエンスにフォーカスしているのが大きな特徴だ。

シスコシステムズ システムズエンジニアリング センターオブエクセレンス シニアマネージャー 財津健次氏

 モバイルワークスペースでは、オフィス内の固定した席で仕事をするのではなく、家から会議に参加したり、PCを持ち歩かなくとも、普段の仕事環境をネットワーク越しに呼び出せる。ネットワークが高速化し、ソリューションが洗練されてきた昨今、こうしたワークスタイルの実現はもはや難しくない。

 シトリックスも同じモバイルワークスペースの目的を掲げる。シトリックスの竹内裕治氏は、「われわれはをあくまでユーザーを中心に捉えています。ユーザーが、新しいデバイスをどのように活かして仕事ができるか、普段の仕事をいかに違和感なく、モバイルの環境で行なえるかが重要です」と語る。いつもと違うデバイスだから、モバイル環境だから、といって使い勝手を妥協するのではなく、職場と違和感なく仕事ができる環境を構築するのが、今回のソリューションの鍵に当たる部分だ。

シトリックス・システムズ・ジャパン プロダクトマーケティング部 シニアマネージャー 竹内裕治氏

 昨今、シスコはNetScalerをOEMで販売しているし、XenDesktopのライセンスも販売しているおり、インフラレイヤーからの積み重ねが今回の提携につながったようだ。「Cisco UCS上でXenDesktopを動作させる事例は数多いので、インフラがシスコであれば、導入はきわめて容易」(財津氏)。シトリックス側としても、インフラ面での実績が魅力だという。竹内氏は、「シスコ様のような実績の高いデータセンターやネットワーク基盤はわれわれにとっても魅力的です」と語る。

事前検証で安心して顧客に展開できる

 Cisco Mobile Workspace Solution with Citrixでは、モバイルワークスペース実現への課題をシスコとシトリックスが共同で解決している。財津氏は「シスコのインフラ上に、リアルタイムのコラボレーションに強いシスコと、仮想化に強いシトリックスが手を組んで、シームレスにつながるソリューションを提供しています」と全体像を説明する。事前検証されているため、パートナーも安心して顧客に展開できるほか、顧客もスピーディに導入できるという。

Cisco Mobile Workspace Solution with Citrixの概要

 たとえば、課題となるセキュリティ面ではAnyConnectやISE(Identity Services Engine)などのネットワークポリシー管理を、XenMobileのMDM(Mobile Device Management)と連携。イントラネットに入るかどうかをISEがチェックし、デバイスやユーザーの情報をXenMobile側に引き渡す。これにより、より詳細なアクセス制御が可能になり、効率的なデバイス・ユーザー管理が実現する。「モバイルを意識しないで使えるけど、セキュリティはきちんと確保されています。シスコとシトリックスでパターンが検証されているので、セキュリティとデバイス管理の効率化が可能になっています」(財津氏)。

 最近はクラウド系のサービスも増えているが、「サービスは提供されているが、両社のコラボレーションのような“深さ”は提供できていません。これは確実に言えること。複数のアプローチでセキュリティを考えているか、多くのアプリケーションが利用できるか、モバイルネイティブの環境で使えるか、エキスペリエンスにかなりの差が出てきます」と竹内氏は語る。

 こうしたモバイルワークスタイルは、エンタープライズが積極的に取り組んでいるが、今後はセキュリティを求められる公共や教育分野などもチャレンジできると期待する。「昨今はワーク&ライフバランスの充実が求められています。こうした取り組みは、人材確保の面でも魅力的だと思います」と財津氏は語る。

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