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高橋暁子の「意外と知らない!? 業界ランキング」 第22回

標準搭載アプリであること&第一印象が重要

Appleが追い上げる!地図アプリシェア早わかり

2014年09月22日 18時00分更新

文● 高橋暁子

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 『そういえば、あの業界のシェアは結局どこが一番多いんだっけ……?』
 そんな疑問を抱いたことがあるすべてのビジネスマンに捧ぐ連載。仕事でも利用できる業界ランキングや業界地図を私、高橋暁子が手っ取り早く紹介します。

地図アプリ開始から9年

Googleマップ

 iPhone 6、iPhone 6 Plusが発売開始された。iPhoneは新バージョン登場の度に話題に事欠かない。特にiOS 6がリリースされたときには、iPhoneの標準地図アプリがGoogleのGoogleマップからAppleのマップに置き換わり、大騒ぎになった。

 登場当時のAppleマップは精度がひどく、存在しない「パチンコガンダム駅」があったり、米国ではAppleマップを頼りに国立公園に迷い込んだ遭難者が相次ぎ、警察当局から修正を要請されたほどだった。

 Googleマップが使えなくなることを恐れてアップデートしないという人もいたほどの惨状だったが、現在ではかなり改善されている。現状では地図アプリのシェアはどうなっているのだろうか。

 元々Googleマップは、Googleに買収されたWhere 2 Technologiesが開発したもの。2005年2月にβ版としてサービス開始。日本語版は同年7月にスタートしている。その後、2007年にはストリートビューが追加され、日本語版も2008年8月に公開されている。ウェブ版に加え、AndroidとiOS向けのモバイルアプリも提供されている。

一方Appleマップは、2007年6月のiPhone発表時にはすでに搭載されていたが、中身はGoogleマップを採用していた。ところが2012年9月にiOS 6への更新と共にGoogleマップの利用をやめている。このときのAppleマップの出来が散々だったのは述べた通りだが、現在はかなり改善されている。なお、AppleマップはiOSにのみ提供されている。

 なお2014年7月には、Yahoo! JAPANからAndroid・iOS向けカーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」が登場。無料の上、VICS(道路交通情報通信システム)情報を受信し、渋滞情報も得られるのが最大の特徴だ。このような新規アプリの登場により、地図アプリ市場に動きは出てくるのだろうか。

Google:Apple=約5:3

Appleマップ

 まず、米国での状況を見ていこう。comScoreの調査によると、スマートフォンにおけるGoogleマップのシェアは43%、Appleマップのシェアは25.6%。つまり単純に比較すると約5:3の割合となる。AppleマップはiPhoneでしか利用できないことを考えると、かなり高い数値と言えるだろう。

 英Guardian誌がその数値を元にユーザー数を計算したところ、2013年9月時点でGoogleマップのユーザー数は約5870万人、Appleマップは約3500万人。iOS 6発表直前、つまりピーク時のGoogleマップユーザーは約8100万人と見られており、約2230万人も減ってしまったことになる。

 iPhoneがGoogleマップの標準搭載をやめたことがシェア減少の一番大きな要因だったことは間違いないだろう。他にも、Appleマップの精度が上がり、同時にiOS版のGoogleマップには一部機能が欠けていることなども影響した可能性がある。

標準搭載アプリであること&第一印象が重要

Yahoo!カーナビ

 ここからは、国内の状況を見ていこう。2013年9月、マイナビニュースがiPhone所有者に対して、利用する地図アプリの調査を行なっている。

 この調査では、「標準のマップアプリ(Appleマップ)しか使ったことがない」が31.0%、「標準のマップアプリ(Appleマップ)も他の地図アプリも使ったが、結局は他の地図アプリを使っている」が21.0%、「標準のマップアプリ(Appleマップ)も他の地図アプリも使ったが、結局は標準の地図アプリを使っている」が4.7%となった。

 そして、標準の地図アプリ以外のアプリで利用されているものは、Googleマップが67%と大半を占めている。

 意外と標準アプリ、つまりAppleマップが利用されていることが分かるだろう。なお、Appleマップユーザーは「特に不便に思わない」「機能的に十分」と回答。標準以外の他のアプリユーザーは「(Appleマップは)使いにくい」と回答している。

 ユーザーはよほどのことがない限りわざわざ他のアプリをダウンロードなどはせず、標準搭載アプリを利用しがちな傾向にあるため、標準搭載アプリとなるかどうかはとても大きな意味を持つ。また、機能改善された後も「使いにくい」という感想を持たれてしまうなど、最初の印象もとても大切ということが分かる。

 Googleの牙城を崩そうとしたAppleの狙いは当たり、Googleのシェアを奪うことに成功している。ユーザーにとっては、両社の闘いにより日常生活で使う地図アプリの性能が高くなるのは願ってもないところだ。Google VS Appleの闘いは激化している。次はお互いにどんな手でくるのかが気になるところだ。

著者紹介:高橋暁子

 ITジャーナリスト、コンサルタント。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。小学校教員、編集者を経て現在に至る。最新刊『ソーシャルメディアを武器にするための10カ条』(マイナビ新書)の他、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』『図解 一目でわかるITプラットフォーム』(日本実業出版社)、『ネット業界 儲けのカラクリ』(中経出版)など著作多数。http://akiakatsuki.com/ Twitterアカウントは@akiakatsuki

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