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マインクラフト買収はマイクロソフトの「防衛策」

2014年09月17日 07時00分更新

文● 新 清士 編集● 盛田 諒(Ryo Morita)

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米マイクロソフトが15日、世界で1700万本を販売する人気ゲーム「マインクラフト」開発元・モヤン(Mojang)を25億ドル(約2600億円)で買収したと発表。海外ゲームビジネスに詳しいジャーナリストの新 清士氏は、マイクロソフトにとって買収はキラータイトルを逃がさないための防衛策だという。

 Mojangは上場を目指すか、バイアウトするか、という状況になっていたと考えられる。2013年度の売り上げは3億3000万ドルで、「アングリーバード」を開発するRovioの2億2000万ドルを1億ドル近く上回っていた。しかしヒット作は「マインクラフト」1タイトルだけで、経営的には今後の展開を問われる段階にぶつかっていたものとみられる。

 一方、マイクロソフトにとってMojangの買収は防衛的な面があるように思える。

 Xbox 360のオンラインサービス「Xbox Live Arcade」の目玉タイトル「マインクラフト」(2012年5月発売)の独占期間が切れ、昨年12月にPlayStation 3版、9月にPlayStation 4版がリリースされ、他のプラットフォームの売り上げが伸びていくことへの危機感があったと思われる。販売台数で後れを取っているXbox Oneは、マインクラフトをキラータイトルにできていない。

 またマイクロソフトは、マインクラフトが生みだすエコシステムを欲したとも思われる。

 マインクラフトは単なるゲームではなく、クラウド型のデジタルエンタテインメントのプラットフォームとも考えられる。ゲームそのものだけでなく、実況動画のキラーコンテンツであったり、Mod(改造データ。Modificationの略)を通じた改造コンテンツであったりと、単純なゲームの域に留まらない面があり、その将来性を高く評価したのではないか。

 ユーザー側の不安は、マイクロソフトに買収されたことで、展開されるプラットフォームに制限がかかったりすること。現状は全プラットフォームに展開すると述べているものの、将来にわたって保証されるとは考えにくい。マイクロソフトの全体のエコシステムに組み込まれても今のエコシステムが壊れない状態が維持されてほしい。


新 清士

 ジャーナリスト、立命館大学映像学部非常勤講師。ヘッドマウントディスプレイのOculus Riftの魅力にはまり込んでしまいバーチャルリアリティに関する個人ニュースブログ VRNews.jp を運営中。10月4日に関連セミナー、ゲーム未来学研究会01「Oculusを最前列で遊ぶ冴えたやり方」を開催準備中。


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