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プッシュ通知やレビューでアプリをもっと使ってもらう方法 (1/2)

2014年09月18日 13時48分更新

文●池村 修/エキサイト

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 スマートフォンアプリのマーケティングノウハウを紹介する本連載。前回の記事では、ユーザーがアプリを実際にダウンロードする配信ストア内で改善を進めるASO(アプリストア最適化:App Store Optimization)について紹介しました。

 今回は、インストールしたアプリをユーザーに「もっと使ってもらう」ためにアプリ内で取り組む改善施策について解説します。

アプリマーケティングの全体像と施策。今回は(2)アプリ内施策・改善

  1. ユーザーにアプリ内のコンテンツや機能を伝える
    • プッシュ通知
    • お知らせ機能
  2. ユーザーからフィードバックをもらう
    • レビュー依頼ダイアログ
    • 周囲に教えたくなる仕組み
  3. アップデートに役立てる
    • OSのメジャーアップデートへの対応

プッシュ通知でDAUを向上させる

 プッシュ通知とは、ユーザーがアプリを起動していなくても、サーバーからスマートフォンへ情報を送ってユーザーに知らせるしくみのことです。アップルの「LocalおよびPush Notificationプログラミングガイド」では以下のようにメリットを説明しています。


「アプリケーションがフォアグラウンドにないときに、ユーザーが関心を持っているイベントが発生する可能性があります。ローカル通知およびプッシュ通知により、アプリケーションは、これらのイベントが発生したことをユーザーに通知できるようになります。」

 ユーザーは普段、自分がアプリを使いたいときに起動しますが、アプリをいくつもインストールしていると、アプリを入れたことを忘れたり、起動するタイミングを逃したりします。アプリ開発者は、プッシュ通知を利用することで、ユーザーにアプリの存在を思い出してもらい、再訪してもうきっかけを作れるわけです。

エキサイトニュースのプッシュ通知

新着情報をプッシュ通知で配信する

 プッシュ通知が特に効果的なのは、ニュースアプリのようなコンテンツの更新頻度の高いアプリです。以下はiOS版「エキサイトニュース」アプリで実装したプッシュ通知によるバッジ表示です。このアプリでは、毎日、ニュースを読む時間帯に合わせて、プッシュ通知でバッジアイコンを表示しています。

 実際に、バッジアイコンがアプリに再訪してもらうきっかけとなり、DAU(Daily Active User)の向上に成功しました(第5回参照)。

エキサイトニュースのバッジアイコン

 ただし、プッシュ通知で送れるバッジはアイコンの横に数字が付くだけで、更新された内容はわかりません。そこで、新着ニュースがあるときにはバッジを表示するとともに、以下のように具体的な更新内容を伝えることで、DAUをさらに伸ばそうと考えました。

  • 新着やユーザーの閲覧が多い特定カテゴリーのニュースの記事タイトルを入れたプッシュ通知やダイアログを表示する
  • 通知をタップすると、その記事内容を表示する

記事タイトルを入れたプッシュ通知とダイアログ

 実際にダイアログを表示するようにアプリを改修した結果が以下のグラフです。青が実施前、オレンジが実施後のDAUの推移で、DAUは120%に向上しています。

 もちろん、通知する内容によっては、期待した効果が得られないこともあります。第5回で紹介したGoogleアナリティクスなどを使って、見られているコンテンツを調べ、プッシュ通知の内容に反映することが重要です。

 エキサイトニュースの場合は、ユーザーの反応がよい記事の傾向を分析し、朝の通勤時間には時事ネタ、お昼はエンタメやアップル関連の記事、夕方の帰宅時にはコラムネタといった具合に、時間帯別にカテゴリーを変えて通知しています。もちろん、災害情報や事件事故、日本全体が盛り上がるワールドカップやオリンピックなどの記事は、「速報」として通知しています。

新着通知で伝えることがないアプリでも使えるプッシュ通知

 プッシュ通知は、ニュースアプリのようにコンテンツを日々更新するアプリだけでなく、新着のお知らせがないアプリでも有効です。

 エキサイトの「寝たまんまヨガ」は、寝ながら音声を聞いてヨガを体験できるアプリです。音声コンテンツをあらかじめアプリ内にダウンロードしておくため、初回ダウンロード時には以下のようなステータスを表示しています。

寝たまんまヨガ 初回ダウンロード時ステータス画面

 ただし、ユーザーはこの画面のまま待つのは退屈なので、ホーム画面に戻って他のアプリを開き、そのままアプリに戻ってこないことがあります。そこで、ダウンロードが終わったら「コンテンツのダウンロードが完了しました」とプッシュ通知を送ってヨガアプリの途中だったことを思い出してもらい、アプリへの再訪を促しています。

ダウンロード完了のプッシュ通知

 こうした細かい気配りはDAUの向上だけでなく、ユーザーの満足度向上にもつながります。プッシュ通知を上手に使って、「また使いたい」と思ってもらう仕組みを作りましょう。

「お知らせ」機能でアプリをもっと知ってもらう

 プッシュ通知で発信できる文字数は限られているので、説明が必要なアプリのアップデートや機能説明は、アプリ内に「お知らせ」機能を設けて掲載しましょう。「お知らせ」でアプリの新コンテンツや新機能をユーザーに伝えることで、アプリの利用やバージョンアップを促したり、満足度を高めたりできます。

エキサイトニュースのお知らせ機能

 エキサイトニュースでは、以下のような内容を「お知らせ」に掲載しています。

  • 障害の発生/復旧の連絡
  • アップデートを促すための最新バージョンのリリース情報
  • 新機能の説明
  • 既存ユーザーに対する新バージョンの告知(動画や画像含む)
  • テキストでは伝えきれない説明の動画

 お知らせ内で、既存ユーザーのアンケートを実施するのも有効でしょう。ダイアログやポップアップでも表示できますが、邪魔に思われれば消されてしまいます。

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