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アマゾンの狙いは? 1000億円で買収した「Twitch」とは何か

2014年08月30日 12時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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 米Amazon.comは8月25日(米国時間)、ライブビデオ配信サービスを提供するTwitch Interactiveを9億7000万ドル(約1000億円)で買収することで合意したと発表した。買収資金は全額キャッシュで支払われ、2014年中にも買収が完了する見込みだ。

 日本ではあまりなじみがないかもしれない「Twitch」(トゥイッチ)というサービスだが、Amazon.comによれば7月だけで同サービスには5500万人以上のユニークな訪問者が訪れ、100万人の中継人(Broadcaster)によって作られたコンテンツを計150億分間以上視聴していたという。

 150億分間を単純換算すると約2万8500年に該当するわけで、膨大な時間がこのプラットフォームで消費されていったことは想像に難くないだろう。

「Twitch」とはどのようなサービスか

 Twitchは、2011年6月に正式サービスインしたばかりの新興サービスだ。もともとはTwitch創業者のJustin Kan氏が提供していた「Justin.tv」(現在は閉鎖)というサービスに端を発する。Justin.tvは自身の生活風景を24時間ライブカムで中継し続けるというシンプルなものだが、そこで発生するハプニングやイベントにユーザーが(視聴者として)共に参加するというスタイルが受け、一躍人気コンテンツへと踊り出た経緯がある。

 Justin.tvは各テーマごとに専用チャンネルが用意され、各々の中継主がライブ放送形式で視聴者参加型の中継を行なっている。同種のサービスとしてはUstreamのほか、日本でもおなじみのニコ生などが挙げられるだろう。

 現在のTwitchでの主力コンテンツである「ゲーム中継」は、このJustin.tvのライブショウ群のチャンネルのひつとしてスタートしたものだ。この人気が爆発したことで、本体であるJustin.tvを逆に吸収する形で「Twitch」へとサービスと社名が変更され、現在へと至っている。

 「Twitch」の語源は諸説あるが、単語そのものの意味である「ビクッと反応する」からきていると考えられる。Twitchのゲーム中継は主に「アクションゲーム」が中心であり、プレイヤーにとっさの反応が求められる。敵が突然出現したり、罠にはまったり、あるいは予想外のアクションが発生したときなど、中継が盛り上がりやすい(「Twitch Gameplay」などといわれるようだ)。こうしたプレイヤー(中継主)や視聴者の「Twitch」的な反応を楽しむためのサービスだといえるかもしれない。

2匹の金魚が「Street Fighter II」で対戦

 こうした真面目(?)なゲーム中継以外にも、ひどくネタ的な脱力系コンテンツもある。最近話題になったコンテンツが「FishPlayStreetFighter」で、2匹の金魚(!)を「Street Fighter II」で対戦させるというものだ。

 とはいっても金魚がゲームコントローラに触れるわけではないので、水槽を泳ぐ金魚に対して、特定のエリアを通過するごとに移動ボタンやパンチ/キックボタンが反応するよう仕掛けを施し、試合終了までどちらの体力が残って勝者になるのかを競わせるようになっている。

 もっとも、金魚は自らが対戦に巻き込まれていること知る由もなく、ゲームの大部分は意味のないジャンプを繰り返したり、遠目の間合いで攻撃を空振りしたりしているだけだ。だが、たまに「神業!」と思えるような避けや攻撃が繰り出されてギリギリまで勝負が読めないわけで、これもまたTwitch的な醍醐味といえるかもしれない。

Watch live video from FishPlayStreetFighter on www.twitch.tv

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