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不正送金被害が急増! サイバー攻撃から身を守れ

2014年08月29日 04時33分更新

文● 加藤 宏之(HEW)/アスキークラウド

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 警視庁公式サイトのトップページの下に「お知らせ」コーナーがあるが、29日正午現在、「お知らせ」の一番上に「重要」として「ネットバンキングに係る不正アクセス被害の防止対策について」へのリンクが貼られている。

 実はいま、インターネットバンキングを狙った不正送金被害が急増している。警察庁の発表によると、一昨年の2012年は被害件数が64件、被害額が約4800億円だったが、翌13年には被害件数が前年比約20倍の1315件、被害額が同29倍の約14億600万円にのぼった。

 今年に入ってもその勢いは増すばかりで、5月9日時点で、被害件数は873件、被害金額は約14億1700万円。被害額はなんと、わずか5カ月間で昨年1年間分をすでに上回っている。

 被害の原因の1つは、インターネットバンキングのユーザーのパソコンがウイルスに感染してしまうこと。ウイルスに感染すると、ユーザーが金融機関等の正規のホームページに接続すると、不正な入力画面が表示される。そこで入力したID、パスワード、第2暗証・質問、合言葉・インターネット用暗証番号、クレジットカード番号・有効期限などが盗み盗られる。一度盗まれると、ユーザーの知らない間に、盗み盗った悪意の第三者が不正にログイン。別の口座へ不正送金されてしまうわけだ。

 このような被害が頻発しているため、各金融機関ではログイン画面に注意喚起を表示しているが、正規ではない不正の画面ではそれが表示されない。また、本来のログイン画面ではお客様番号やパスワードの入力のみであるのが一般なのに対し、不正の画面では、第2暗証・質問、合言葉・インターネット用暗証番号の入力が求められる。「いつもの画面とは違う」と少しでも疑問を感じたら、正規の画面であるかを確認するように心がけたい。

インターネットバンキングのログイン画面で正規なもの(上)と不正なもの(下)のイメージ(警視庁より)
インターネットバンキングのログイン画面で正規なもの(上)と不正なもの(下)のイメージ(警視庁より)

 不正送金被害は個人だけでなく法人にも及んでいる。全国銀行協会の5月の発表によると、3カ月ごとの被害件数と被害金額が昨年7~9月から急増。それまで数百万円だった被害額は2013年10~12月に3100万円へと増え、14年1~3月にはさらに1億4000万円に跳ね上がった。件数も数件で推移していたなか、14年1~3月に21件に及んでいる。

全国銀行協会のアンケートに基づく法人口座の不正送金被害の推移(IPAサイトより)
全国銀行協会のアンケートに基づく法人口座の不正送金被害の推移(IPAサイトより)

 こうした金融に限らず、企業をはじめ政府機関や交通、電力など、社会のさまざまな面にサイバー攻撃がしかけられている今日、生命や財産に脅威が及んでいる。

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