全面ピントの合った写真が撮れる「深度合成モード」
顕微鏡モードの中のいくつかある設定モードの内、極めて興味深いモードが「深度合成モード」だ。
通常、マクロ撮影では深度が極めて浅く、被写体のみにフォーカスされてしまう。そして、そのレイヤー意外の背景はボケてしまい、今いったい何を撮影しているのか分かりにくい場合が多い。
深度合成モードは、手前の被写体から徐々に奥の被写体にピントが合うように、ピントを少しずつずらしながら複数枚の写真を連続撮影し、撮影した画像のピントが合っている部分を自動抽出して一枚の写真に合成してくれる。
その結果、手前から奥までピントが合った図鑑のような標本写真を作ることができるのだ。これは画期的だ。
実際に、アウトドアでは上野恩賜公園で見つけた蝉の抜け殻を、インドアでは筆者の好物のシュガートーストや、愛用の明和電気製「魚コードUSB」を撮影してみた。
すべて上側か左側が普通の顕微鏡モード(超マクロ)、下側か右側が「深度合成モード」で撮影したものだ。主役の被写体の背景の写り具合を見れば一目瞭然だろう。
アートフィルターで東京駅がハリポタ風に!?
TG-3も他社のコンパクトデジカメと同様、伝統的なカメラの光学的な設定とは別に多様なシーンの選択や、アート系フィルターも用意されている。
被写体別に、夜景や花火、料理、文書、ポートレイトなど、最適化されたシーン撮影が可能だ。また、魚眼レンズ的効果やパノラマ撮影、ミラーリングイメージ、トイフォト、ジオラマ、ドラマチックトーン、ポップアートなどのインパクトある設定も豊富に用意されている。
その中でも筆者のお気に入りは、「ドラマチックトーン」と「ポップアート」のアートフィルターだ。ドラマチックトーンで快晴の夏の日に撮影した赤レンガの東京駅は、なぜかハリーポッターしているし、早朝に近所の公園で撮影したジャングルジムはいつもよりカラフルで楽しいポップイメージだ。
写真はスマホで、という時代に
傑出した新機能で進化を続けるデジカメ
この2週間、楽し過ぎる顕微鏡モードやアートフィルターで遊んでいるうちに、TG-3のカメラとしての光学的伝統的なスペックをチェックする暇はほとんどなかった。
顕微鏡モードの出来から推測して、おそらく撮影データとGPSのロガー機能や内蔵Wi-Fiによるスマートフォンとの連携処理にも素晴らしいモノがあるのだろうが、筆者の興味の範囲ではないので、先行するカメラ達人たちの製品レビューを参照されたい。
普通の写真撮影ならスマホでも十分な現代、極めて競争の激しいコンパクトデジカメの世界は、もはや何でも平均点を取れる商品の時代ではない。傑出した新機能と、違いが分かる楽しさで一瞬のうちにユーザーをかっさらって行く“着想エネルギーの時代”だ。
そういう観点において、TG-3は最先端をいくコンデジの中のコンデジだ。もうしばらくして顕微鏡モードに飽きてきたら、ゆっくりとGPS+電子コンパス機能や自慢のタフさを追求して遊んでみたい。
今回の衝動買い
アイテム:オリンパス「STYLUS TG-3 Tough」+「LEDライトガイド」
価格:アマゾンにて4万905円(TG-3)+4958円(ライト)で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。
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