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山谷剛史の「アジアIT小話」 第80回

中国でスマートテレビの普及が急加速! 来年には全体の8割に!?

2014年08月21日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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安かったので中国のテレビを買ってみた!

蘇寧のテレビ売り場

蘇寧のテレビ売り場

 去る8月18日、ネットにおける家電製品売買が非常に盛り上がった。理由は、蘇寧電器のECサイトが5周年で、翌19日にはAmazon中国が10周年で、特別セールを行なったうえに、それを潰さんがごとく、ほかのECサイトがキャンペーンを打ち、楽視網が楽視TVの限定販売をぶつけてくるなど、家電がいつも以上に安く買えたのだ。

ネットの売れ筋は50インチ

ネットの売れ筋は50インチ

 国民の5割弱にあたる6億人強のインターネット利用者もさることながら、それ以上に非利用者もまたチベット自治区や小都市まで全国展開する蘇寧電器のリアルショップがお祭りムードとあって、テレビを買い替えた人が普段に比べ多かったようだ。ネットでの売れ筋は、お手頃な32インチLEDテレビだが、50インチも人気だ。

 このように、安い価格まで落ちてきたこともあり、自腹で中国拠点向けにスマートテレビを購入することにした。

康佳の液晶テレビ「LED32K11A」

康佳の液晶テレビ「LED32K11A」

康佳のテレビ売り場

康佳のテレビ売り場

 購入したのは康佳(KONKA)という中国メーカーの32インチAndroid搭載テレビ「LED32K11A」だ。Android 4.0搭載で、解像度は1366×768ドット、有線でも無線でもネットに接続可能な製品だ。配達設置料込み(壁への取り付けも可。人件費は安い)で1498元(約2万5000円)だった。

届いた康佳のパッケージ

届いた康佳のパッケージ

 届いた本製品は「買ってよかった」と物欲を満たすパッケージ……ではなく、正反対の極めて質素なパッケージだ。

説明書はこの紙1枚(両面)だけ

説明書はこの紙1枚(両面)だけ

 特にスマートテレビだからこそ、日本であれば数冊あるはずの説明書は、紙ペラ1枚しかなく驚いた。コネクター類の説明とリモコンの説明と設置方法と安全の注意だけが書かれた必要最小限のもので、中国的「後は自分で何とかしろ」スピリッツを垣間見た。

これまで使っていたパイオニアのテレビ(左)と比較。同じ画面サイズながら薄く、小さくなっている

これまで使っていたパイオニアのテレビ(左)と比較。同じ画面サイズながら薄く、小さくなっている

 筆者の中国拠点では、3年前に購入した32インチの「パイオニアの液晶テレビ(蘇寧電器がパイオニアブランドを買取り、蘇寧電器のテレビ製品などをパイオニア製品として販売している)」があり、それの買い替えとなる。

 見た目の違いで最初に気づくのは、LEDバックライトの採用により、同じ32インチでも厚さは薄く、フチは狭くなり、軽量・小型化した点が挙げられる。

本体背面。日本のテレビとそれほど変わらない

本体背面。ボタン部分がちょっとチープな感じだが、日本のテレビとそれほど変わらない

コネクターの数は少なめだ

コネクターの数は少なめだ

 背面のコネクター数が減ったのも大きな違いだろう。HDMIコネクターとUSBコネクターは2つずつあるが、(コンポーネント)AVコネクターが4つから1つに減らされ、ミニDsub15ピンがなくなった。

 蘇寧電器で改めて確認すると、多くの製品でアナログのAVコネクターが削られている。多くの家庭に以前からあるDVDプレーヤーとデジタルチューナーはHDMIケーブル経由ではなくAVケーブル経由であり、テレビ自体がデジタルチューナー非内蔵のために最低でも2つのAVコネクターがほしいところ。

 また、標準ではAVケーブルで接続するPlayStation 2やWiiについても、中国では未発売ながら多くのユーザーがいる。ゲーム機をつけるならAVコネクターは3つ必要となる。デジタルチューナーがないことからも、インターネットテレビにシフトしちゃえ、というメッセージが見えるようだ。

 ともなれば中国は早々にテレビでもネットでビデオオンデマンドが第1の選択肢になっていくのだろうか。

 次回記事では、中国のインターネットテレビで何ができるのか。実際に触って紹介していく。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)。

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