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山谷剛史の「アジアIT小話」 第80回

中国でスマートテレビの普及が急加速! 来年には全体の8割に!?

2014年08月21日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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50インチが5万円で買える中国の薄型テレビ市場

激安でインパクトを与えた「楽視TV」

激安でインパクトを与えた「楽視TV」

 中国のテレビは安くなった。「創維」(Skyworth)や「海信」(HiSense)、「康佳」(KONKA)、「TCL」、「ハイアール」といった中国の著名テレビメーカーの製品が、50インチで3000元強(約5万円)、40インチで2000元強(約3万3000円)、32インチで1300元(約2万1500円)まで落ちてきている。

 無名のメーカーならさらに100~200元程度安くなるし、ネットにおいては動画配信サイトの「楽視網」が50インチの「楽視TV」を2999元でリリースし、他メーカーの追随を許さない。

 日本の50インチテレビは10万円以上はするので、それと比べてだいぶ低価格となっている。売られている液晶テレビは基本32インチが下限で、トレンドは40~52インチ。蘇寧電器などの大手家電量販店の店頭にはスマートテレビや4Kテレビが当たり前のように売られている。

ハイビジョンなら尖閣諸島の場所もわかる! という展示デモ

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 中国の(ハードウェアとしての)テレビと、日本のそれを比べると、ブラウン管から液晶とプラズマへ進化し、プラズマは終息。液晶テレビはLEDバックライトを搭載し、3Dテレビとなり、そしてスマートテレビ、4Kに向かっている点では同じではある。

 ただし、異なる点も多々ある。中国でも地デジ化はしたが、地デジチューナーを内蔵するテレビは今も昔もマイナーで、外付けの地デジチューナーを使うのが一般的だということ。

 中国のブラウン管時代末期には、ミニDsub15ピンコネクターとUSBコネクターが当たり前のように搭載され、PCのモニターとして使ったり、動画ファイルや音声ファイル再生の提案をしていたということ。

 中国では録画を意識した機種はゼロではないが、海賊版VCD・DVDやその後のネット配信から、ニーズはなく、今までほとんど出ていない。

 また、日本では液晶テレビメーカー各社の製品には「録画しやすい」「液晶にこだわり」といった個性があるが、中国メーカー各社の製品は若干のUIの違いくらいしかない。

中国独自のラインナップの違いは
スマート機能の有無

 「OEM元は同じで後はロゴを各企業で用意しているだけ」と揶揄する声もあるわけだが、各メーカーでの差別化がないかわりに、「LED」「網絡電視」(ネットワークテレビ)「智能電視」(スマートテレビ)「雲電視」(クラウドテレビ)という、機能の差別化ワードがある。ざっくりいえば、後者になればなるほど高級だ。

 「LED」は文字通りLEDバックライト搭載でネットに繋がらないテレビだ。「網絡電視」はブラウジングと、著作権の関係上古い動画コンテンツがネット経由で再生でき、アプリ追加などで機能追加ができないテレビとなる。

 「智能電視」はAndroid搭載でアプリを追加導入できるテレビで、「雲電視」はそれに加えてクラウド系アプリが入っているテレビのことを指す。何かしらの動画サイトと提携していることから、最新の動画コンテンツが見られる。

 「智能電視」と「雲電視」はほぼイコールの関係で、「Google TV」ではなく「Android搭載のスマートテレビ」だが、販売戦略か、上位機種のみ雲電視と呼ばれている。

ブロードバンドも安くなった

ブロードバンドサービスも安くなり、スマートテレビの普及を後押しする

 40インチ以上のクラスにおいてはほぼAndroid搭載のスマートテレビ、つまり「智能電視」か「雲電視」となっている。テレビの低価格に加え、テレビをスマートテレビ化する中国のセットトップボックス(STB)が3000円程度で買えるため市場に浸透。

 これにより中国におけるスマートテレビの認知度は高く、調査会社の奥維咨詢(AVC)は、来年までにスマートテレビの浸透率はテレビ全体の85%にまで達するとまで予想している。

(次ページに続く、「安かったので中国のテレビを買ってみた!」)

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