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「コミックマーケットはやっぱりすごい!」 モバイル空間統計×メディアライフスタイル調査

コミケで人がどう動くかを視覚化してみた

2014年08月14日 18時52分更新

文● 遠藤諭/角川アスキー総合研究所

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 スマートフォンの登場で人々が“移動する”ことの意味が大きく変わりはじめている。いままでは、家と会社とか、旅行先と地元とか、2つの座標の変化のイメージだったが、人々はつねに“情報”を取り込みながら動くようになった。生物として生態が変わったといってもよいと思う。

コミケによる人の動きを視覚化してみる

 ドコモインサイトマーケティングが、2013年10月から提供している“モバイル空間統計”は、そうした人々の動きをマクロ的にとらえたデータ。携帯電話のネットワークのしくみをもとに、1時間ごとにその周辺にいる人の性別・年齢、居住地を集計したものだ(人を特定せずまたトレースも行なっていない文字どおりの統計データ)。

 人の位置情報や行動に関しては、“ジオフェンシング”(Geofencing=店舗へのチェックインなど)や“プロキシマル・アイデンティティ”(Proximal identity=ある人物が特定の位置に近づいたときに持つその人固有の価値)など、さまざまなキーワードが注目されている。そうした中でも、モバイル空間統計は、集合的にいちばん大きな単位でドカンととらえた情報といえる。

 人が移動するのは屋外や交通機関、ビルの中など共有空間が多いので、どこにどんな年代の人がどこから来ているかが分かれば、そこに作るべき施設や出店すべき業態、サイネージに表示する広告なども見えてくる。

 モバイル空間統計では、都市計画や交通事業者、防災関連などといったより大規模な人の移動の分析も可能にしているそうだ。コンピュータが登場して、航空機などの乗り物や建築物など街の風景が変わったように、こうしたデータが都市の構造を変えうるということだ(詳しくはドコモインサイトマーケティングのサイトを参照のこと)。

 具体的に人の動きでどんなことが分かるのか? 同社のデータを拝見してコンテンツ文化の研究がテーマの1つである角川アスキー総合研究所としては、「コミックマーケットにおける人の動きを出してください」とお願いしてみた。

 それをもとに我々で作成したのが、この「コミックマーケットはやっぱりすごい!」というインフォグラフィック(昨年の冬コミ=2013年12月29日~31日を集計)。角川アスキー総研の1万人アンケート調査「メディア・ライフスタイル調査」によるコミックマーケット来場者のプロフィールとあわせて構成してある。

 あくまでNTTドコモの利用者とアンケートの回答結果をまとめさせてもらったものなので、これがコミックマーケットそのものではないのはいうまでもない。

 しかし、コミックマーケット開催中の東京の人口分布がいかに極端な状態になっているかが推定できる(年末というのもあるが)。人の集まり方を表現したグラフ(いちばん上のマップ)では、東京ビッグサイト周辺は、新宿の3倍以上のグラフとなっている(新宿のグラフの下部が隠れているためにそれ以上の差にも見えるが)。

 なお、時間軸グラフ(中央のマップ)は、3日間を通しての男女の構成比の変化(全体を通した参加者の男女比ではない点に注意)、いちばん下のグラフは、どこに住所登録した人たちがコミケにやってきているかを表している。ここまでが、モバイル空間統計によるグラフ。

 1万人調査では、いままでコミックマーケットに“行ったことがあり、また行きたいと思っている”と答えた人たちの集計結果をのせた(50個の棒グラフ)。参加者数の最も多い20代に絞ってアンケート回答者全体の同世代とを比較したものである(ただし、“コミックマーケットに行く”人たちのほうが同じ20代でも平均年齢は低くなっているので、その影響のある部分もあるかもしれない=それも客観的なデータではあるが)。

 コミックマーケットという巨大イベントの視覚化をビッグデータと定性データの組み合わせで試みたわけだが、もちろん、同様のことは日本中のさまざまなイベントや場所でたえず起きている。

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