社内コミュニケーションの切り札として
「Yammer」を採用したシャープ
日本では、中古車販売大手のガリバーや、マネックス証券、NTTラーニングシステムズなどがYammerを導入しているが、なかでも最大規模のユーザーとなるのが、シャープだ。
シャープは、2011年度、2012年度と大幅な最終赤字を計上。構造改革に取り組んでいる真っ最中だ。
その構造改革への取り組みの中で、社内コミュニケーションの切り札として採用したのがYammerであった。
シャープ コーポレート統括本部ITシステム戦略部戦略企画グループ・多田卓央副参事は、「トップダウン型のコミュニケーションとなっていたこと、部門をまたいだ横方向のコミュニケーションに課題があったこと、経営陣と社員との間でコミュニケーションが行ないにくい環境があった」と、シャープが抱えていたコミュニケーションの課題について指摘する。
構造改革の旗を振る高橋興三社長も、「上からの指示を待たないと動かないという風土を、変えていかなくてはならない」と語り、それを打破するために、社内コミュニケーションの活性化を掲げていた。
Yammer試験導入ですでに成果があがる
シャープでは、2012年12月から、社内SNSの導入検討を開始し、2013年2月からは、広報部門、人事部門、総務部門、IT部門の4つの部門を対象に、Yammerの試験導入を開始した。同社がYammerを選択した理由は、ExchangeやLync、Officeといったマイクロソフト製品を数多く社内利用しており、「それらとの親和性や、将来性なども考慮した結果」だと説明する。
そして、何よりもYammerの試験導入での成果があがっていたことが見逃せない。
「通話や電子メール、あるいはLyncにしても、これまでの社内コミュニケーションツールは、知っている人とのやり取りに限定される。しかしYammerでは、知り合うことができなかった人同士が組織を超えてコミュニケーションを図り、これまでにはなかった情報がやりとりされるといった成果があった」という。
正式運用では約半数の約9500人が登録、
高橋社長とも多くの社員が直接やり取り可能に
シャープは、2013年5月から正式に運用を開始。これまでに約9500人が登録した。
Yammer利用の対象となる国内約2万人の社員数からすれば、約半分の社員が登録している計算になる。
高橋社長以下、経営幹部自らが積極的に書き込みを行ない、感じたことをざっくばらんな文章で掲載。「あまり接する機会がない経営幹部を、身近に感じるようになったという社員の声もある」という。
イントラネットのトップに表示される社長メッセージ欄には、Yammerでの発言を掲載して、高橋社長と多くの社員がYammerで直接やり取りできるようにしているという。
こうした経営幹部とのコミュニケーションによって階層をなくしたやり取りが行なわれているほか、また、新製品の開発時点や製品発売時には、部門を超えて情報を共有。技術やマーティングについても、広く意見を収集するといったことが行なわれている。
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