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映画『STAND BY ME ドラえもん』を手掛けた「白組」オフィスにお邪魔してお話をうかがった

えっ、指紋つきのドラえもん!? 3DCGに込められた「質感」へのこだわり (1/3)

2014年08月08日 08時00分更新

文● 松野/ASCII.jp編集部

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『STAND BY ME ドラえもん』監督の八木竜一氏(右上)、白組 CGスーパーバイザーの鈴木健之氏(右下)、白組 アートディレクターの花房真氏(左)

 8月8日公開の映画『STAND BY ME ドラえもん』は、『ドラえもん』シリーズとしては初の3D CG映画となる。映画の内容も気になるところだが、注目してほしいのはその全編にわたる精緻なCG映像。アニメーションや実写映画の企画・制作を手掛ける「白組」が今回の制作に利用したのは、ワークステーション「Precision T7600」を筆頭にしたデルのハードウェアだ。

 今回は東京都・三軒茶屋のスタジオにお邪魔して、監督の八木竜一氏、白組 CGスーパーバイザーの鈴木健之氏、白組 アートディレクターの花房真氏に、デル製品や制作秘話などのお話をうかがうことができた。

ゲームムービーから映画製作へ

こちらは青山の「白組」オフィス。ドラえもんがお出迎え

八木 「白組」は、もともとCMの特殊映像を主な業務にしていました。2Dのコマ撮りアニメーション映像から特撮(VFX)まで、普通の撮影ではできない映像づくりをやっていたんです。それがある時期に、オフィスにワークステーション端末が導入されて、さらにWindowsやMacが入ってくる。僕らのような専門ではない人間でもCGが作れるようになるわけです。それからはCMだけではなく、次第にゲームムービーの仕事なども扱うようになっていきました。ゲームムービーって、映画的な作り方をするものが多いんですよ。そのうち、映画も作りたくなっちゃった、って(笑)。社長の島村(島村達雄氏)も「CGできちっと1本作品を作ってみたい」という目標を持っていたんです。初めて制作したフルCGアニメは『friends もののけ島のナキ』で、2作目が今回の『ドラえもん』になります。

花房 Macで最初に3Dをはじめた時は「継ぎ目があるじゃん、人間作れないじゃん」ってなったんです(笑)。人間が作れないと映画は中々できない。映画『アビス』で初めて人間の顔のようなものが出てきて、『ターミネーター』ではそれが銀色になって、『ジュラシックパーク』まで行くと「テクスチャが貼れる」ってところまで行く。『トイ・ストーリー』になると、もうCGだけで全部作っちゃってる。これは負けてられないなと。うちも少しずつ始めていった感じです。

八木 今、制作ソフトは「Autodesk 3ds Max」を使ってます。長年同じものを使ってるので、分かりやすい。

制作期間は3年、企画からだと4年

監督の八木竜一氏

八木 『ドラえもん』の実制作期間は3年半、企画からだと4年ぐらいになりますね。作業者は3Dスタッフで40名ほど。この規模の映画だと人数は少ない方で、よく業界の人にも「少ないね」って言われます。進め方が特徴的で、人数少なめで期間を長めにとってるんですよ。「細く長く」タイプということです。

 プロデューサーが3Dで『ドラえもん』をやりたいと言っていて、それで話が来たんです。プロットを藤子・F・不二雄プロに提出したら、「こんなに愛のあるプロットはない、断る理由がない」と。そういう経緯でスタートしました。

鈴木 『ドラえもん』で主に使ったワークステーションは「Precision T7600」ですね。合成チームが使用していて、他にも「Vostro」とか「OptiPlex」、ファイルサーバーなどデル製品を使っています。

鈴木健之氏

八木 『もののけ島のナキ』のときは使えるメモリーが6GBほどで色々苦労をしたので、今回は特にメモリーを大きくしてほしいと要望を出しました。

鈴木 外付けのRAID対応HDDを使わず、内蔵のRAID HDDですべて済ませたかったので、「T7600」シリーズの筐体を選んだというのはあります。スタッフが席を移ったり、オフィスのレイアウトを変えても移動しやすいし、内蔵ケーブルがRAIDカードに挿しやすいというカスタマイズ性の良さも考慮しています。前回の映画から間をあけずにプロジェクトがはじまって、問題点や反省点が出ていた中で、スペックを相談して決めていった感じですね。テストの段階で監督から「こういう画が撮りたい」「こういうことがしたい」などの要望があり、1台あたりどれほどの負荷がかかるかを考えてチョイスしました。

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