東京の渋谷区宇田川町に「HMV record shop 渋谷」がオープンした。海外で買い付けた洋楽全盛期の中古レコードとCD、独自企画盤も含めて約8万点が並ぶ。ローソンHMVエンタテイメントとしては初の中古専門店で、8月2日の開店初日には入店待ちの列ができるなど、リスナーの関心も高いようだ。
渋谷のHMVと言えば、2010年8月に閉店した「HMV渋谷」の記憶が新しい。閉店した当時「CD不況とインターネット販売に負けた」と言われたが、その渋谷系文化の発信地と呼ばれた拠点が消えてから4年。まさかの再進出を果たしたHMVのターゲットは、ずばり当時の「90年代渋谷系世代」だった。
CDの売上を補完するための中古
2010年のHMV渋谷閉店後に、HMVジャパンはローソンの完全子会社となり、現在はローソンHMVエンタテイメントが「HMV」ブランドを使用している。本家イギリスのHMV Group PLCとは、すでに経営上の関係はない。
そのローソンによる子会社後は、ショッピングセンターを中心に新規出店を続けているが、CDの売上不振が続く中、HMVとしてアナログレコード主体の中古専門店を出す理由は何なのか。
また、HMV record shop 渋谷が置かれた渋谷区宇田川町は、かつては大手から個人経営の小さなショップまでが集まる「世界一のレコ屋街」と言われていた。HMV record shop 渋谷も、それまでDANCE MUSIC RECORDS(DMR)があったノアビルのフロアに入っている。ここに第1号店を構えるのは、何か意図があるのか。
「CDの生産額が年々落ち、その部分を補完しなければならない。その一環として中古商材があるが、強力な競合がある。そこで専門性を高めるためにアナログは不可欠(小松正人氏)」という判断から。渋谷店がこの場所になったのは、たまたま中古事業立ち上げのタイミングで話があったから、ということらしい。
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