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クラウド時代を象徴する、Chromebook特集 第4回

可能性はある、ただしシェアは1割か2割が限界

Chromebookが流行らない要因──西田宗千佳氏に聞く

2014年08月26日 09時00分更新

文● 松野/ASCII.jp編集部

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グーグルのノートパソコン「Chromebook」は市場にどのようなインパクトを与えるのか?ジャーナリストの西田宗千佳氏にうかがった。

Windows以外のパソコンを、という事例は増えている

――Chromebookが日本市場に投入されるインパクトは。

西田宗千佳氏

 投入それ自体にインパクトや何らかの影響があるかと言えば、そうではないと思います。投入されてどのような事例ができるかというのが本当に重要なことで、日本にはまだ教育向けに1件の事例しか公開されていません。

 ただ、以前の企業向けデバイスにありがちだった「PCじゃなければ駄目」「Windowsじゃなければ駄目」という流れが壊れつつあるのは確かです。

 2010年頃から、タブレット、あるいはWindows以外のPCが注目されてきている。とはいえ日本ではドラスティックにシステムを替えるのを嫌がる傾向があって、そういったPCの導入事例は海外に比べて少ない。

 今年4月にWindows XPの移行問題がありましたが、海外ではその時に「Windowsじゃなくてもいいんじゃないか」とWindows以外のデバイスを積極的に導入しようとする動きが出ていました。事例は増えてきているので、日本でも流行する可能性はあると言えます。

――Chromebook自体は海外で発表されたのが2011年。(東芝などが一時投入したこともありますが)3年遅れで国内投入されたことについては

 もちろん遅すぎたということは言えるのですが、実際はChromebookもアメリカですぐに受け入れられたわけではありません。本当に導入が進んだのは2012年末から2013年初頭にかけてではないでしょうか。要するに、Chromebookの第1世代はそれほど受けていなかったということです。

 3年遅れたというよりは、ここ1年半ぐらいの成功例をもって日本にやってきたというふうに考えるべきでしょう。そうなると、極端に遅かったとも言えない。日本ではひとまず法人・教育機関向けのみの提供になりましたが、国内の販売体制が保守的だというのも原因の一つだと思います。

――企業・法人向けのみ販売という判断については

 グーグルのサポート体制が整っていないということでしょう。Chromebookはグーグルの製品ではなく、同社はあくまで法人向け管理コンソールのみを提供しています。企業向け導入ではSIerやChromebookの販売メーカーだけでほとんどの場合をカバーできますが、個人向けとなると、メーカーもグーグルも広くサポートを展開しなければなりません。それだけの体制が日本のグーグルでは整っていないということだと思います。

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