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仕様を拡張して磁気共振結合方式に対応

Qi、次世代仕様V1.2は無線送電距離が約4倍以上に!

2014年08月04日 14時53分更新

文● 行正和義

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45mmの距離でも送電できるフィリップスのV1.2送受信機

 WPC(Wireless Power Consortium)は7月29日、携帯電話などで利用されている無線送電技術Qi(チー)の次世代仕様V1.2を発表した。

 現行のQiでは伝送距離7mm程度と、ほとんど接触するほどの距離でしか送電できなかったが、V1.2では30mm(電磁誘導方式を使用)まで送電できるとしている。さらにQi V1.2は、従来の電磁誘導方式に加えて磁気共振結合(磁気共鳴または磁界共振)方式への拡張も盛り込まれ、磁気共振結合を用いた場合は45mm離れていても送電可能。

既存のV1.1も充電できるLGの充電台

 これまでQiが利用していた電磁誘導(Magnetic Induction)は磁界内の電線に発生する誘導電流を利用しているが、磁気共振結合(Magnetic Resonance Coupling)では振動する磁界の共振を利用して送電する。電磁誘導はコイルの向きや位置を正確に合わせる必要があるが、磁気共振結合では送信/受信コイル位置や向きが多少ずれていても送電でき、また伝送距離も長いため充電するスマホの置き方や、充電台/スマホデザインの自由度も高くなる。

複数メーカーの機材がV1.1とV1.2で相互に利用できることを実証している

 無線送電技術の普及を目指す団体としては現在のところWPCとは別にA4WPやPMAがあり、とくにA4WPが磁気共振結合方式を推している。携帯電話などの充電方式としてはQiがいちはやく実用化、普及を進めているが、次世代無線送電として期待が持たれている磁気共振結合を仕様に取り入れたことにより、今後の普及に弾みがつきそうだ。

現行のQi V1.1充電器(パナソニックのサイトより)。電磁誘導方式ではコイルの位置を正確に合わせる必要があるため、充電台の中で最適位置までコイルが移動するしくみを取り入れている

 なお、Qi V1.2は下位互換性もあり、従来のV1.1受信機や送信機を混在して使用することも可能。すでに半導体メーカー数社から電磁誘導方式と磁気共振結合の両方に対応する電流制御/充電用の素子が出荷されている。Qi V1.2製品が登場するのは2015年中と予想されている。

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