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アポロ11号の月着陸からどれだけプログラムが変わったか

2014年07月31日 16時00分更新

文● Lauren Orsini via ReadWrite

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ソフトウェアが辿った45年の長い道のり。

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アポロ計画の技術レベルは、現在ポケットサイズの電卓に使われている程度のものだった…それは今や多くの人の知る所だ。だが、宇宙飛行士達の月到達と地球帰還に使用されたコンピューター・プログラムが、同じくとてもシンプルな物だった事について語る人はほとんどいない。

7月20日の日曜日は、1969年のアポロ11号の月探査ミッション、今日多くの人々に月面着陸として知られるミッションの記念日だった。このミッションに使用された命令プログラムは現在もパブリックドメインに残されている。

アポロ11号のプログラムが映し出すこの興味深い差異は、この45年でコンピューター演算がどれだけ変化したかを示している。

それは1969年当時の技術の結晶だった…

1969年当時、アポロ計画を導いたのはIBMシステム/360 モデル75ドラマ「マッドメン」に出てくる様な、部屋を丸ごと一つ占めるタイプのコンピューター)だった。システム/360シリーズのプレスリリースは今でもIBMのサイトで見る事ができる。このシリーズは13万3,000ドルから550万ドルでの発売が予定されていた。2014年の現在、ごく普通のUSBメモリースティックですら、このシリーズのどのモデルよりもパワフルなものだ。

…だが、演算能力は特筆すべき進化を遂げた

現在、アポロ誘導コンピューター(AGC)のエミュレーターをヴァーチャルAGCからあなたのパソコンに、簡単にダウンロードする事ができる。Mac OS X上ではこのように見える。

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AGCの利用方法は一つに限られていない

今日、ハイレベルなプログラミング言語が多種に渡ることは、現代のプログラムが特定の1つか2つの用途にしか使えないこと意味する。それに比べてアポロ誘導コンピューターは驚くほど広い用途に使う事ができる。AGCエミュレーターウェブサイト上で、ロン・バーキー(プログラマー)はAGCに使用されたプログラムをデスクトップ用の時計として使う方法を示している。

AGCは動詞と名詞で制御されている

アポロの命令プログラムは、現代のユーザーが理解できるシンタックスでは書かれていない。宇宙飛行士達はコマンドを数値で入力し、2桁の数値がそれぞれ動詞や名詞を表していた。動詞は遂行されるべき動作を記述し、名詞は動詞の表す動作によって影響されるデータを指定した。

動詞と名詞の設定は宇宙飛行士達に大不評だった

ラモーン・アロンゾ(当時のAGCハード開発担当者の一人)は、そのインターフェイスは彼らの実験室を訪れる人々を感動させる為に作り出されたものだったと言う。だが、より優れたインターフェイスを誰も開発しなかったので、そのままフライトに使われる事になってしまった、とも言っている。批評家達には「科学的」でないと言われ、全員がジェット機のエリートパイロットだった最初期の宇宙飛行士達は、飛行機の制御盤と同じダイヤルやスイッチの方を好んだ。

AGCプログラマーたちのユーモアのセンス

Hacker Newsにて、コメント投稿者達がプログラム内の面白いコメントを取り上げている。UNIXシェルとほぼ同等の機能を果たすプログラミングの一部には、ジョークとして
“PINBALL_GAME_BUTTONS_AND_LIGHTS”(ピンボールゲームのボタンとライト)という名がつけられている。

シミュレーターをダウンロードしてその特異性を自分で確かめてみるといい。月面探索に関して我々は進歩していないが、少なくともコンピューターはとても速くなったと言える。

トップ画像提供:NASA

Lauren Orsini
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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