これまで格安SIMといえばNTTドコモのネットワークを使ったものばかりだったが、auのLTEネットワークを使った格安SIMの「mineo」(マイネオ)が6月に登場し人気を集めている。
現在、格安SIMだらけな筆者だが、ドコモだけに依存するのも不安なので、実際に申し込んで試してみた。
1GB月額約1000円だが、微妙に高くて制約がある
mineoは、関西電力の子会社で、関西圏ではコンシューマー向けのFTTHも展開するケイ・オプティコムが提供している。申し込みは全国から可能で、月間1GBの高速通信のプランは月額1058円。8月5日からは月間2GBと3GBのプランが新たに加わり、既存ユーザーもプラン変更が可能になる。
ほかの格安SIMとの最大の違いは、auのLTEネットワークを使っていること。そのため、利用する端末はauのLTE機種にほぼ限定される。
SIMフリー機でも周波数帯や方式が合えば使えるが、もっともLTEのエリアが充実していると思われるauの800MHz帯にLTEで対応し、かつSIMフリーという端末がほとんどない。音声通話付きのプランも選べるが、その場合は3Gでの通信となる。3Gはドコモやソフトバンクと方式が異なるため、ほぼau端末に限られてしまうのだ。
また、mineoはauのLTE圏内のみ通信が可能で、圏外だと通信できないという制約がある。
料金や契約制度もドコモ回線の人気格安SIMとは異なる。まず、月間1GBの料金が、ドコモ回線の人気格安SIMは税込1000円を切る程度に対してmineoは1058円。また、1年間以内の解約には解約精算金として1万260円がかかるなど、条件が微妙に厳しい。しかも、現在のところ店頭販売はなく、申し込んで届くまで数日かかる。
料金とサービスとの関連を上の表にまとめているので確認してほしい。比較するのはドコモ網の格安SIMの中でも大手のIIJmioのOCNモバイルONEだ。
au版なら端末を安く調達できる可能性もある
mineoは料金や制度だけ見ると若干不利なサービスに見えるが、そうでもないこともある。例えば端末。auに限ると言われると対応端末の調達に苦労しそうと思ってしまうが、au端末の中古価格はドコモよりも割安。mineoのサービス開始で人気が出て相場が上昇傾向だが、それでも割安だ。
例えば、auとドコモの両方で提供された「Xperia Z1」の中古販売店相場は、ドコモ版は状態の良い物で4万円近くするのに対して、au版は3万5000円前後となっている。
機種にこだわらなければ良品でも1万円前後から入手も可能。しかも、auのLTE端末は最初の機種の登場から2年も経っていないので、1万円の中古端末でも著しく低性能なものがないのがいい点だ。
また、mineoのSIMを挿入したauのAndroidスマートフォンでテザリングができる点も高く評価したい。これはドコモのスマートフォンにない大きなメリット。フィーチャーフォンと組み合わせる2台持ち運用をすれば通話、スマートフォン利用、PCなどのネット接続のすべてをサポートできる。
なお、iPhoneは5c/5sのau版とSIMフリー版での利用が確認されているが、テザリングはできない。また、iPhone 5は現在のところ非対応で、iPadについても動作確認済みなのはiOS7.1搭載のiPad mini(Retinaディスプレイモデル)とiPad Airとなっている。
SIMフリー版のLTEスマートフォンなどの利用ができる可能性もあるが、auの800MHz帯に対応する機種はほとんどないと言ってよく、多くの機種が対応する2.1GHz帯のLTEだけでは実用に耐えるエリアとは言いがたいのでおすすめできない。
auのAndroidスマートフォンを選ぶなら、2013年後半の発売機種から800MHz帯、1.5GHz帯、2.1GHz帯の3バンド対応機種が登場しているので、できれば対応周波数帯に注意して選んでおきたい。
次ページへ続く、「ネットで申し込み、届くのをじっと待つ」
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