IT専門調査会社のIDCジャパン(IDC Japan)は28日、従業員数10人以上の企業652社に対して実施したビッグデータに関する調査結果を発表した。
「ビッグデータ」という言葉の認知度を2013年調査と比較すると、企業のIT部門は13年の74.8%から88.4%へ13.6ポイント増え、9割近くに達した。業務部門をはじめとした非IT部門や経営層でも、13年の33.5%から56.6%へ23.1ポイントの大幅増で5割を超えた。
そこで利用状況を尋ねると、ビッグデータを提供・利用しているのは全体ではわずか7.2%だが、従業員数の多い企業ほど提供・利用状況が高まり、5000人以上の企業では14.3%にのぼった。
ビッグデータの利用目的として多いものから順に「マーケティングの強化」(42.7%)、「業務オペレーション改善」(20.1%)、「リスク管理」(18.3%)、「業績/パフォーマンス評価」(17.2%)となった。
産業分野別にみた場合、特に「マーケティングの強化」を重視しているのは「流通/サービス」(59.4%)、「通信メディア/情報サービス」(46.8%)、「金融」(41.7%)、「製造」(38.3%)。今回の結果からは、顧客やユーザーの動向をビッグデータから読み取り、将来的な需要が見込めるサービス・モノでビジネス展開しようという企業側の思惑が浮かび上がっている。
ビッグデータへの取り組みを進める企業が最も期待している業績効果は、新規事業や既存事業による「売上拡大」が半数以上を占め、「コスト削減」を上回った。一方、今後3年間に期待する売上貢献の程度は「最大で10%程度」以下という回答が約85%を占めており、その期待は決して過度ではなく、あくまで地道な収益向上が求められている。