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ファミマ自販機、18年ごしで花開く

2014年08月08日 16時37分更新

盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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Family mart

 会社の休憩室でコンビニおにぎりが買える。ファミリーマートの自販機(ASD)事業が順調だ。本格的に事業を開始してから約10年で、設置箇所は850カ所、稼働台数は1300台に上る。現在は関東が中心だが、東海・関西方面にも進出、2015年度までに1500カ所へと倍増を狙う。

 自販機事業はam-pmが始め、ファミリーマートが吸収した事業。「am-pmは、良い意味でも悪い意味でも進んだ会社でした」と、ファミリーマート新規事業開発部の太田裕資氏は18年前を回想する。「もともとの着眼点はam-pmが都心に強いコンビニチェーンだったことから。いずれ家賃・人件費が問題になる、そこを無人化で補おうという話だったんですよ」


路面店で失敗し、販路開拓で伸び悩む

 自販機が未来のコンビニ市場を開拓してくれる――そう期待したが、自販機そのものは大ハズレだった。コンビニと同じ発想で「路面店」を展開したが、すぐ近くにコンビニがあるのに、わざわざ自販機を選ぶ客はいない。自販機そのものも巨大で、メンテナンスを考えると採算も合わなかった。

 仕方なく路面店事業を撤退したあと、方向を変え、事業所への出店に切り替えた。

 記念すべき第一号店は、電通グループの電通国際情報サービス(ISID)。システム系の関連会社はセキュリティーが厳しく、従業員がコンビニに行くために外に出るのが面倒だという悩みを抱えていた。売り上げは上々。カップめんなどフード系の自販機は多少あったが、競争は激しくなかった。

 だが、ふたたび自販機は伸び悩む。理由は販路開拓の方法にあった。

 「当時はオーナー式だったんです。自販機を1店舗として考えていたので、近くにあるam-pmのオーナーや会社に入っている食堂会社・売店業者に声をかけ、なんとか入れてもらっていた。入れてほしいと言われても入れられない、という状態が続いたんです」

 それでも9年かけてどうにか200カ所まで導入件数を伸ばし、業績を積んだ自販機事業は2005年に転機を迎える。自販機専門のオペレーター企業と契約を結んだのだ。以来、既存自販機の販売ネットワークを使って営業もメンテナンスも出来るようになり、ネットワークは順調に広がっていった。


置き菓子「オフィスファミマ」で競争激化

 「従業員150~200人の事業者には自販機が設置できる。ざっと調べたところでは都内だけで2万社、市場としてはまだまだ残されています」

 昨年には同じ販路でスナック菓子のような乾きものを売る「オフィスファミマ」も開始。従業員50人程度の小規模企業にも営業をかけ、300カ所まで伸ばした。2002年開始の「オフィスグリコ」を始めとする製菓メーカーを相手どり、オフィス内の「一等地」を争う形となっている。

 市場背景には競合との競争もある。

 セブン-イレブン・ローソンなど、コンビニ大手の出店競争は熾烈だ。もちろん「店と自販機では売り上げとして比べられるレベルではない」(ファミリーマート広報)が、取り扱うのはプライベートプランド商品が中心のため、ファミリーマートのブランドを認知させ、店頭に送り込むのは小規模であっても意味がある。

 テレビやネットで見かけた商品をオフィスから出ず、すぐに買えるという利点もある。

 「コンビニが多様化する中、もっと便利にならなきゃいけない。企業の総務側からすると、ビルにコンビニが入るのが一番うれしい。ただファミリーマート側の出店判断もありハードルは高い。ファミマとして『より小さなファミマ』で答えるためにASD(自販機)があるんです」


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