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量子コンピューター、量子通信のエラー訂正への応用に

理研、量子パラメトロンを実現

2014年07月28日 22時53分更新

文● 行正和義

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研究で用いたパラメトロンの等価回路図(a)、動作原理(b)、デバイス写真(c)

 理化学研究所は7月25日、超伝導回路を用いたパラメトロンを製作して量子ビットの読み出しに成功したと発表した。

パラメータ共振の原理とパラメトリック発振。ブランコをこぐ人の動きを入力として、位相(ブランコの紐の長さ)にあった入力を全体の振動として発振出力する

 パラメトロンは電気的な発振回路を組み合わせた演算素子。1950年代に開発されたもののトランジスタの普及に伴い演算回路としては現在用いられていないが、近年になって物理科学的なデバイスとしての応用に注目を浴びている。

BPSK変調信号のパラメトロンによる復調。(a)のBSK変調された信号に対し、実際のパラメトロン出力(b)では元の信号に似た波形となり信号の複合として機能している

 理研の研究チームを中心とした研究グループは、超伝導磁束量子干渉計(SQUID)に超伝導共振器回路を組み込み、パラメトロンを用いた回路を製作した。この回路は1フェムトワットという微弱なデジタル変調シグナルでも変調位相に応じた発振を行い、単一のパラメトロン回路として検波機能を持つ。

量子ビット+発信器の位相状態をパラメトロンで検出する。(b)ではラビ振動の観測により90%の高い精度で読みだしができている

 検波機能を超伝導量子ビットの読み出しに応用したところ、単一試行で90%を超える高い精度で非破壊(量子データを保持した)かつ高速で読み出せることが分かった。量子計算においては、単一の量子ビットに対して影響を及ぼすことなく高速で読み出すことがエラー訂正として必要となり、今回製作したパラメトロン回路の手法が応用できるという。

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