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関西ベンチャーが人と情報を得る方法

2014年07月23日 07時00分更新

文● ガチ鈴木/アスキークラウド

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 トーマツベンチャーサポートとサムライインキュベートが主催する「全国スタートアップデイ」。国内7都市を回り、地方のベンチャー企業やスタートアップと、東京のベンチャーキャピタルや大企業とを結び付けて、事業提携や資金提供を実現させる。全国的なベンチャーの盛り上がりを促進し、地方からの起業や経済活性化を図ることがイベントの狙いだ。

 第1回は大阪。グランフロント大阪のナレッジキャピタルタワー内にある「大阪イノベーションハブ」で2014年7月12日に開催された。梅田の再開発で誕生した大阪イノベーションハブは現在、大阪はもとより関西のハブとしてベンチャーや企業家、クリエーターが集まる施設となっている。ハッカソンやワークショップ、ビジネスセミナーなどが連日催されており、トーマツ ベンチャーサポートが主催するベンチャー企業と大企業を結び付けるイベント「モーニングピッチ」の関西版と呼べる、「モーニングミートアップ」も定期的に開催されている。

 イベントでは複数のベンチャーキャピタルと大阪ベンチャー企業が「東京と地方のギャップ」をテーマにパネルディスカッションしたほか、関西のベンチャー企業10社によるプレゼンも実施された。プレゼンの様子は週アスPLUSの記事「『全国スタートアップデイ in 関西』で出会ったイケてる新鋭サービス10選」に掲載したのでそちらを参照してほしい。

全国スタートアップデイ

パネルディスカッションに参加したのは、左からオプト インキュベーション本部の菅原康之氏、Draper Nexus Venture Partners, LLCの中垣徹二郎氏、ジャフコ関西支社プリンシパルの山口泰典氏、さくらインターネットの田中邦裕代表取締役。モデレーターにサムライインキュベートの玉木諒氏、トーマツベンチャーサポートの権基哲氏。

 パネルディスカッションで、東京と大阪との差として何度も強調されたのが「人」と「情報」だ。どうしても東京のほうが人も資金提供機会も、技術も集まっている。その問題をどのように解消できるのか。

 さくらインターネットの田中邦裕代表取締役は、関西で起業することのメリットもデメリットも「あまりない」と語る。同社は関西で起業して18年の企業だ。ただし人に関して「東京は人が多すぎて、お互いに距離を感じる。大阪はだいたい同じ人に会う。濃厚な付き合いができる。ベンチャーキャピタルは経営者を見ている。お互いを知るのに、大阪くらいのキャパだと長い付き合いができる」とした。

 一方、4年前に東京から関西にきたジャフコ関西支社プリンシパルの山口泰典氏は、東京と関西のギャップは、東京と米国以上に大きいという。ただ、だからといって単純に東京に行けばいいかといえば、それは違う。「東京と付き合ってるだけでいい時代じゃない。月1回はシリコンバレーやアジアに行くとか……。大阪だから、ほかの地方だから、こうしたことを意識すると間違ってしまう」と述べた。また山口氏自身は地元の広島に戻って仕事をしたいと考えているが、地方には仕事がなく、持続的な仕組みが必要だと語った。

 情報面では、オプト インキュベーション本部の菅原康之氏が「東京はなくてもいいと思っていい。関西でもそのまま世界でビジネスできる」という一方、サムライインキュベートの玉木 諒氏は「関西にいてどうやって情報を取るかは重要。東京、シリコンバレーに足を運んで自らアポ取る勢い」を持てと、積極性を強調した。

 Draper Nexus Venture Partners, LLCの中垣徹二郎氏も同様に、大阪の会社で大きくなってきているロックオンの岩田進代表取締役社長を例にだし、「岩田さんはアジアばっか行っている。それは東京も大阪も関係ない」としたうえで、「一歩国境を出たら関係ない。日本を代表しているという視野で、日本ではニッチなものが世界に出たらそこそこの市場規模があるかもしれない。そういう企業をファンドで支援したい」と語った。

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