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ポストPCを本格化させるAppleとIBM - 提携への反応は?

2014年07月22日 10時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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誰が得をして、誰が損をするのか?

 AppleとIBMの共同発表に際して、最も分析が行なわれ、反応が高かったのがこの部分だ。AppleとIBMは競合部分がほぼゼロな一方で、互いの弱点をカバーし合える最良のパートナーとなる可能性が高い。ゆえに業界他社が非常に警戒するのだ。

Google単独、Microsoft単独では力不足

 わかりやすいのは、InformationWeekが「Apple-IBM Deal: Trouble For Google, Microsoft」のタイトルで示す2社だろう。

 まずGoogleだが、同社は基本的にハードウェアを持っておらず、デバイスそのものはパートナー企業に依存している。またエンタープライズ市場が弱い点ではAppleと共通で、やはりパートナーに依存する部分が大きい。その意味で、IBMのようなエンタープライズ方面に強力な企業との提携は魅力的なはずだ。

 Microsoftについては、エンタープライズ向けを含めWindowsで実績があり、パートナーを含めてチャネルが構築されているが、一方で「ポストPC」時代を担うだけのデバイスやサービス戦略が構築されていない。スマートフォンやタブレットの世界ではAppleやGoogleほどのプレゼンスがない。

 互いに弱点を補完し合ったAppleとIBMに対抗するには、GoogleとMicrosoftでは力不足なように思える。

トドメをさされたBlackBerry

 さらに、止めを刺された格好になったのがBlackBerryだといわれる。

 BlackBerryは、かつて企業システムとの親和性の高さとセキュリティの高さの両面で評価が高く、企業向けモバイル市場を席巻した。だが、最近ではモバイルインターネットやアプリストアの波に乗り遅れ、AppleやGoogleらの後塵を拝するまでになっている。さらには頼みの綱だった企業向けや政府機関向けといった用途でも、最近では大規模事例を中心にiPhoneやAndroidを導入する例が増えており、防戦一方となりつつある。

 そして今回のAppleとIBMの提携で、企業向け用途でiPhoneを導入するための裏付けが行なわれた形となり、BlackBerryが致命的なダメージを受ける可能性が高いとみられている。実際、両社の発表直前と比較して同社株価は1割以上下落しており、少なからず発表の影響を受けているのは間違いない。

AppleとIBMの提携が発表された週のBlackBerry株価(Nasdaq)の変化。発表日の15〜16日を境に株価が大きく下落している

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