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AWS Summit Tokyo 2014レポート ― 第4回

導入への社内障壁は?ベンダーをどうたきつける?ロックインは?

NTTドコモ、東急ハンズ、日清食品が語るクラウド成功の秘訣

2014年07月22日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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セキュリティにうるさい役員にはどう答える?

 各社の状況を見ると、導入までの経緯は異なるものの、共通した課題はセキュリティであることがわかる。これに関して、各者はどう対応したのか?

 日清食品ホールディングスでもAWS導入に際しては、社内でさまざまな議論がわき起こり、新聞に載った事件も遡上に載ったという。「こうした中、セキュリティという観点でCIAが導入を決定したといった事例は追い風となった」という。

外資系企業での経験をクラウド導入に活かす日清食品ホールディングスの喜多羅滋夫氏

 喜多羅氏は、「われわれも1年前から始めたばかりでわからないことばかりでした。なので、アマゾンの方にとにかく教えてくださいとお願いした。セキュリティ要件は、数ある事例での実例を教えてもらうことで、私も担当者もだいぶ楽になった」と語る。自社で悩んでいることは、他社でも悩んでいるとのことで、事例をうまく活用することで、課題を乗り越えられるというわけだ。

 一方、NTTドコモの大野氏は「228個のチェックリストの中で、最後に残ったのはやはり個人情報の部分。でも、アマゾンさんはいろいろ相談に載ってくれたし、さまざまな第三者機関の認定も取得されている。VPCも論理的に分離されているのでオンプレミスとパブリッククラウドを意識しないでよい」と語る。また、アクセスログを収集してくれる「Cloud Trail」もアプリケーションごとにログ収集する手間が省け、非常に有用だという。

 「NTTドコモさんの228項目のチェックリストは公開してコピーしちゃまずいですか?」とコメントし、玉川氏からたしなめられた長谷川氏は、「中小企業の役員会でクラウド導入を検討すると、システムのことわからんのにセキュリティは大丈夫かと指摘してくる役員が必ずいる」と指摘。これに対して、セキュリティの仕様や検討課題をリストアップするのはかえって逆効果になり、むしろシンプルに「『クラウドを信じて大丈夫です』と断言する方がよい」(長谷川氏)とアドバイスした。

クラウド移行に“ぐずるベンダー”をどうする?

 もう1つの課題は、既存のベンダーとの付き合い方だ。企業システムの場合、多くは新規開発ではなく、既存システムの移行になるが、こうした場合、ベンダーの助けが必要になる。ここをいかにユーザー主導でやるかが大きな課題だ。

 東急ハンズでは会計・人事システム、勤怠管理、POSなどのシステムを移行したが、導入元のベンダーに依頼すると、最初はネガティブな反応しか返ってこなかった。「ベンダーの『やったことないからできまへん。責任とれまへん』から始まって、こっちは『だったら、今のシステムこけたら、どう責任とんねん』となる。へりくつの言い合いですわ」(長谷川氏)となるのが普通だという。

関西弁で押しまくるボスキャラ感満載の東急ハンズ 長谷川秀樹氏。

 それでも同社は強い意思を持ってクラウド移行を進めた。当然、仕様上の限界に当たることもあるが、長谷川氏は、「できないこと前提ではなく、どうやったらできるかという議論を進めれば、だいたい大丈夫なはず」と指摘する。一方、喜多羅氏は、先が不透明な中、ユーザーにとっても長年の投資を最初からコミットするのは、もはや理不尽と指摘。「先週、まさにうちでも長谷川さんと同じような議論がありましたが、クラウド移行をやっておいたほうが御社にとってもメリットですよとベンダーに提案しました」と同調する。

 大野氏は、「AWSはよく黒船と言われるが、実はiモードに代表されるエコシステムがなくなったフィーチャーフォンでも同じことが起こっていた。クラウドのパラダイムシフトの中で、ISVだけではなく、われわれもどうやって生き残っていくか、真剣に考えていかなければならない」と指摘。SIerやベンダーも、クラウドを前提としたパラダイムシフトに着実に対応することが必須だと訴えた。

(次ページ、メリットは柔軟性、アウトソーシング、スピード感)


 

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