これは歓迎すべき新しい変化かもしれない
これまでとは違う動きだ。アップルは先週金曜、開発者向けの新たなプログラミング言語「Swift」専用の公式ブログを新たに開設した。
アップルの態度をこれまで横柄だと非難してきた人々にとって、この類の開発者向けの対応は非常に珍しいことだ。これまでアップルは同社のソフトウェアやハードウェアのラインに関する様々な事柄について専用のセクションやウェブページを用意していたが、それらはどれも公式な発表とダウンロードに関する一方的な情報やデータの集積場になってしまいがちであった。
今回アップルは、あえてこれまでとは違う方法で開発者にアピールしようとしているようにも見える。アップル自身のウェブサイト上に開設されたSwiftブログは、アプリ開発者にSwiftでの開発に関するより詳しい情報の提供を約束し、よりオープンで親しみのある各種情報へのアプローチを提示する。さらにそれは、同社のモバイルのiOSとデスクトップOS Xのアプリ開発用言語の使いやすさに関する、より包括的なテーマにも繋がる取り組みでもある。
この新しいブログによって、最新ニュースや生産的なSwiftプログラミングのためのヒントだけでなく、この言語を開発したエンジニアによるSwift言語の設計やその背景に関する情報も与えられることになるでしょう。
Xcode 6ベータ版をダウンロード(アップルの登録開発者であれば無料で可能)すれば、Swiftをすぐに使い始めることができます。「Swift Resources」タブには、いち早くSwiftエキスパートの一人になるための動画、ドキュメント、本、サンプルコードなどへのたくさんのリンクが用意されています。
このブログがこの先どのように発展していくかはまだ分からない。いまのところ、このブログには「過去・現在・未来のOSリリース」を通じたSwiftの安定性に関する説明の投稿が1つあるだけだ。しかし、これが将来的にアップルとの双方向のコミュニケーションのための手段となるだろうことは容易に想像できる(数年前ではこれは不可能だったが、ブログが開設された今であれば可能だ)。
ウォールストリートジャーナルは最近、ティム・クックの下でアップルがいかにソフトになったかを述べている。チームワークと共同作業を強調するこのCEOの温厚で柔軟なリーダーシップのスタイルは、独裁的なマネージメントと妥協を許さない個性で知られる共同創立者スティーブ・ジョブズのものとは全く対照的だ。
確かに、今年6月に行われたアップルのワールドワイド・デベロッパーズ・カンファレンス(WWDC)での発表には少しこっけいで奇妙なところがあった。このイベントでアップル役員のクレイグ・フェデリギは、「メタル」と呼ばれる新機能についての説明でヘヴィメタル風のジェスチャーを見せ、CEOのクックは同僚である彼をプレゼンテーションからプレゼンテーションへと「飛びまわる」その姿から「スーパーマン」とからかうように呼んでいた。
こういった部分から、よりリラックスした新しいアップルの姿が見えてくる。今回のSwiftブログの新たな開設は、クックのオープンな考え方がいよいよ外部の独立したソフトウェア開発者たちに向けても浸透してきているともいえそうだ。
だがこのブログが、過去の振る舞いを後悔しているハイテク企業によって捻出された、単なるジェスチャー以上のものである可能性は高そうだ。アップルが、App Storeのラインナップ充実のために現在使用されている古臭く優雅さを欠いた言語からSwiftへの移行を望んでいるのであれば、まずは開発者を呼び集める必要がある。
そのための最良の方法がこのようにコミュニティーを与えることだ。開発者たちはiPhoneやOS Xの計画から遠ざけられ仲間外れにされることに慣れて(人によっては飽きて)しまっている。ここ数年、彼らが望んでいたものは正にこれなのだ。これまで支配的だったアップルのオープン化にむけた歴史的な第一歩なのかもしれない。
少なくとも、何人かの開発者はそう信じている。
This is not just about Swift, more like APPLE HAS A BLOG.
— Peter Steinberger (@steipete) Jul 12, 2014
Peter Steinberger:「Swiftよりも、アップルがブログを開設したことのほうがニュースだ」
Apple engineers… talking publicly about their work? *looks suspiciously for marketing or legal people with nets*
— David Smith (@Catfish_Man) Jul 12, 2014
David Smith :「アップルのエンジニアが…自分の仕事について公に話す?マーケティングあるいは法務的な狙いもあるのか?」
Adriana Lee
[原文]
※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら