このページの本文へ

「オンラインゲーマーの多くは頻繁なマルウェア感染を経験している」

鍵はコアゲーマーと金融機関?ウェブルート事業戦略を説明

2014年07月15日 14時00分更新

文● 谷崎朋子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

7月14日、ウェブルートは2015年度の事業戦略と最新の脅威に対する取り組みを発表した。2014年第3四半期は、グローバルでOEM分野の前年同期比が7割以上の増益を見るなど、好調な同社。2015年度は、金融機関をターゲットとしたオンラインバンキングソリューションの提供、個人向け製品の店頭販売の強化、パートナー支援プログラムの提供などで、日本市場のさらなる開拓に乗り出す。

ゲーマー向け製品と金融機関へのフォーカスで市場拡大を狙う

 ウェブルートは、2005年から個人向けセキュリティ製品で日本市場に参入し、2012年から企業向けソリューションを提供開始した。特に個人向け製品では、ウイルス判定処理をすべてクラウド上で行なうことで、PCのリソース負担を軽減、パフォーマンスが犠牲にならないと評価が高い。こうした強みを生かし、2015年度は「テクノロジー」「パートナー」「コンシューマー」の3つの分野に注力する。

 テクノロジー分野では、今年2月にRSAカンファレンスで発表した「Webroot BrightCloudセキュリティサービス」と、オンラインバンキングソリューション「Webroot Web Access Intelligence」の提供だ。

 Webroot BrightCloudは、同社のセキュリティインテリジェンスネットワークから配信される最新の脅威情報を、ユーザー企業の製品やOEMベンダーへ提供するサービス。2700万のOEMパートナーからフィードバックされる脅威情報、800万台のセンサー、40億のファイルのふるまい情報など、蓄積された膨大なデータは最新の機械学習システムで相関性が構築され、精度の高い脅威情報として配信される。

 現在、OEM向けにはAPIとSDKが提供されているが、BIツールや次世代ファイアウォールと連携するためのコネクタも準備中だ。

Webroot BrightCloudセキュリティサービス

 オンラインバンキングソリューションは、3つの製品で展開する。1つは「Webroot Web Access Intelligence」で、ユーザーがオンラインバンキングへアクセスする前にデバイスをヘルスチェックにかけて、適宜セキュリティソフトのインストールやカスタマーセンタによるサポートなどを実行する。2つめは、企業向けエンドポイント向け製品「Webroot SecureAnywhere Businessエンドポイント プロテクション」。そして3つめは、独自開発アプリに組み込めるモバイルバンキング用SDK(AndroidとiOSに対応)だ。

オンラインバンキング向けソリューション

 同ソリューションは、すでにグローバルで30以上の金融機関が採用しており、日本でも現在数行と検討段階に入っていると、ウェブルート マーケティング部 シニアマネージャー 吉田一貫氏は述べる。

ウェブルート マーケティング部 シニアマネージャー 吉田一貫氏

 パートナー分野では、マネージドサービスの提供と、パートナー支援プログラムの立ち上げを行う。マネージドサービスは、グローバルで600社が参加しており、迅速に導入、サービスの提供開始ができるのもクラウドベースならではと吉田氏は言う。

ゲーマー向けのアンチウイルスをリリース

 そしてコンシューマー分野では、知名度アップに向けた戦略として、パワーユーザー向け製品の投入と、家電量販店での店頭販売の拡大を目指す。パワーユーザーは、具体的にはゲーマーを指し、すでに欧米で販売されている「アンチウイルス for ゲーマー」を今秋リリース予定だ。

個人向けセキュリティ製品のラインアップ

 「オンラインゲーマーの多くは頻繁なマルウェア感染を経験しており、対策は必須だ。その中で、メモリやCPU、バッテリの消費が少なく、性能を損なわない当社製品は、海外ゲーマーから高評価で受け入れられている」(Webroot Inc. CMO デヴィッド・ダンカン氏)。

Webroot Inc. CMO デヴィッド・ダンカン氏

 また、店頭販売も強化する。最近はダウンロード版が主流になりつつあるセキュリティ製品も、家電量販店での販売は製品のプレゼンスやブランド力の向上の観点で、重視していると吉田氏は述べる。「ゲーマー向け製品を起爆剤に、今後2~3年で店頭シェア10%を目指す」。

 企業向け製品では、先に挙げたWebroot BrightCloudやエンドポイントプロテクションのほか、6月に販売開始したモバイル端末向け「Webroot SecureAnywhere Businessモバイル」と、エンドポイントプロテクションとモバイルの両機能を備えたユーザーライセンス型「Webroot SecureAnywhere Businessユーザープロテクション」で展開する。ユーザープロテクションは、1ユーザーライセンスで最大4台のデバイスを保護できる。

■関連サイト

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード