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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第30回

二次創作ではアイマスとラブライブ!は共存共栄が可能!?

似ているようで違うアイドルマスターとラブライブ!のpixiv事情

2014年07月17日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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アニメ「ラブライブ!」2期第1話の公式動画。BD第1巻の売上枚数は、深夜アニメとしては異例の10万枚超に達した。

3年間の雌伏を経て大ブレイク
ラブライブ!のpixiv事情を探る

 「ラブライブ!」は、廃校の危機に直面した母校を救うために少女たちがアイドルグループ「μ's」を結成して奮闘する物語。以前からライブやゲームやラジオなどの展開をしていましたが、2013年のテレビアニメ化で人気が急上昇しました。

 ニコニコ動画では企画予告の頃から動画が投稿されていますが、目に見える投稿数となったのは2013年にアニメ化が決まってから。また2014年のアニメ2期では月間の投稿動画数が倍以上に跳ね上がっており、この2年間での人気の拡大が伺えます。

ニコニコ動画において、2014年7月上旬時点で視聴可能な「ラブライブ!」タグの付いた動画の月別の投稿動画数とそのユニークな投稿者数、および新規の投稿者数。ちなみに最初の2010年7月に3件の投稿があるが、これは以下のとおり公式に投稿されたデビューシングルのCM動画である

「ラブライブ!」の企画開始直後の2010年7月に、デビューシングルの発表とそのコミックマーケット先行発売の告知としてLantisちゃんねる公式に投稿された3件のCM動画の1つ。現在もライブDVDの映像などがニコニコチャンネルで公開されているが、この頃からニコニコ動画の活用がされていることが分かる。

 pixivでも状況は似ており、イラストは2010年から見られるものの、2013年になって初めて月の投稿数が100を超え、また2013年には月2000に届かなかった投稿数が、テレビアニメ2期最終回が放送された2014年6月には月6000近くと約3倍まで伸びました。

 アニメ終了に伴い、若干投稿数は落ちつくと思われますが、2014年前半では「ラブライブ!」はpixivでも有数の二次創作の原作品となっています。現在までにpixivには「ラブライブ!」タグのイラストが約1万2000人の投稿者により4万件以上投稿されています

pixivにおいて、2014年7月上旬時点で見ることができる「ラブライブ!」タグの付いたイラストの月別の投稿イラスト数とそのユニークな投稿者数、および新規の投稿者数。企画スタートの頃からテレビアニメ化までも少ないながらも継続して投稿のあったこと、テレビアニメの1期2期でそれぞれ爆発的に投稿が増えた様子が分かる

女の子も多い? 「ラブライブ!」のイラスト投稿者

 ゲーム誌の企画から始まった女の子のアイドル企画として、「ラブライブ!」も「アイドルマスター」同様に男性の投稿が多いかと思われましたが、調べてみると女性の投稿者も多く、年齢を公開していない投稿者も含めると約半数が女性投稿者でした

 投稿者の64%が性別の情報を公開、2割が性別と年齢の両方を公開しています。両方を公開しているユーザー2635名について見てみると、アイドルマスターよりやや若いですが20代前半の男性の投稿者が多い一方、女性の投稿者についても18歳をピークに多数存在することが分かります。

 pixiv自体、女性投稿者の割合が多い投稿サイトであるため、「ラブライブ!」は男性投稿者が多い部類の作品にはなりますが、特に16歳以下では女性の投稿者が目立って多く、主人公たちの設定年齢(高校1~3年生)やその下の年代の女子でも一定数の投稿者がいることが分かります。

グラフ7と同様に収集したデータについて、性別・年齢をpixiv上で公開している投稿ユーザー2635名について集計してグラフにしたもの。青が男性、赤が女性

 「ラブライブ!」タグのイラストのなかで投稿数の多いタグを見てみると、こちらもキャラクター名を示すタグが多いようです。

 キャラクターとしては「矢澤にこ」と「西木野真姫」の投稿が継続して非常に多く、次いで「南ことり」がコンスタントに上位にいます。また「高坂穂乃果」はアニメ1期で、「東條希」はアニメ2期でそれぞれ投稿を伸ばしました。もっともμ'sの9名に関しては「矢澤にこ」「西木野真姫」を除けばいずれも投稿数に大きな差はありません。

 その他のキャラクターでは2014年ではライバルチーム「A-RISE」のリーダー「綺羅ツバサ」のタグがグラフ外でも比較的上位に見えます。

 カップリングタグとしては人気の高い両名のカップリングを示す「にこまき」がよく投稿されています。またグラフには出てきていませんが、2012年では「のぞにこ」(東條希・矢澤にこ)や「えりまき」(絢瀬絵里・西木野真姫)などのタグが見え、アニメ化した2013年以降では「のぞえり」「ほのえり」「りんぱな」「ことほの」「ことうみ」「ほのうみ」「えりうみ」など多様な組み合わせのタグが見えます。

 アニメ化以前は曲名タグの比率なども高かったですが、アニメ化以降そうしたタグの比率は少なくなりました。代わって「百合」のタグが多く見えます。また2013年頃からカップリングタグが増えた影響か、一人だけを描いていることを示す「solo」のタグがよく付けられています。

 キャラクターを示すタグとしては愛称の「エリーチカ」「かよちん」やその略称の「252」、顔文字の「(・8・)」などの他、なぜか「小泉花陽」の胸を意味する「かよちち」のタグがよく付けられています。

pixivの「ラブライブ!」タグのイラストに付けられていたタグについて、半年ごとにイラストの投稿数の順に並べたもの。「ラブライブ」「ラブライブ!100users入り」などのタグは除外。キャラクターは赤、カップリングは紫、楽曲タイトルは緑、その他は灰色で示してある

 「ラブライブ!」についてもイラストのR-18、漫画投稿の比率の推移を示しました。

 漫画投稿については同期間のアイドルマスターイラストと同様によく投稿されており、毎月2割以上のイラストで漫画投稿機能が使われているようです

 またR-18イラストの比率はアイマスや過去に取り上げた東方・艦これなど男性投稿者の多いジャンルと比較すると非常に少なく、5%前後となっています(しいていえば2009年以前の東方タグがこれくらいの比率でした)。VOCALOIDやカゲプロと比較するとそれでも多いですが、女性投稿者が多い点から見ても分かるとおり、どちらかというとエロよりもかわいい女の子やその関係性を描くことに重点の置かれた投稿人気であるようです。

 また月別に比率の変化を見ていくと、やはり8月、12月はR-18、漫画投稿の比率がやや上がっています。同人イベント関連のR-18イラストによる宣伝の影響と思われます。ただし漫画投稿の比率は他の時期にも波を打っているようです。

pixivの「ラブライブ!」タグイラストのR-18設定および漫画投稿について、月ごとの比率を出したもの。グラフ5と同じく、前回までのR-18、漫画タグの比率とは若干異なるため注意

二次創作ではアイマスとラブライブ!は共存共栄が可能!?
意外にもイラスト投稿者はあまり被っていない

 以上のように「アイドルマスター」とともに、2期アニメも大人気のまま終了した「ラブライブ!」のpixiv投稿を分析してみました。

 アイドルをテーマとしてアニメやライブイベント、ソーシャルゲームなども盛んな点でよく比較されがちな「アイドルマスター」と今回比べてみましたが、「ラブライブ!」は女性投稿者が多く、成人向けイラストも比較的少ないなど、思っていた以上に投稿者層は異なっていました。

 実際、pixivで「ラブライブ!」タグのイラストを描いている投稿者のうちアイドルマスターのイラストも描いていたのはほんの2割ほどで、pixivのイラストの投稿者という点でいえば「アイドルマスター」と「ラブライブ!」はそこまで接点がないようです

 実際のファン層とは若干異なるのかもしれませんが、イラスト投稿の点では「ラブライブ!」は男性人気だけでなく10代の女性人気も獲得しており、共にゲームを主体にアイドルをテーマとして3DPV・声優ライブ・ソシャゲ・テレビアニメ・劇場アニメと類似した展開をしつつも、アイマスとはやや異なる傾向に進んでいるようです。

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