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エゴサーチとレビュー監視でアプリの満足度を上げる方法

2014年07月15日 11時30分更新

文●池村 修/エキサイト

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 スマートフォンアプリのマーケティングノウハウを紹介する本連載。前回の記事では、Google アナリティクスを利用したアプリ内分析と改善について説明しました。

 今回は、アプリを使っているユーザーの反応をSNSの書き込みやレビューで調べる方法、クラッシュに即時対応してユーザー満足度を上げる方法を事例とともに紹介します。

アプリマーケティングの全体像と施策。今回は(6)アプリ内分析

「Yahoo!検索(リアルタイム)」でユーザーの声を集める

 アプリを実際に使っているユーザーの生の声には、アプリを成長させる改善のヒントがあります。アプリの運用中は、配信ストアのレビュー欄や、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアでの反応を監視して、アプリの問題点を把握しましょう。

 TwitterやFacebookなどのソーシャルでの反応を知るツールはいろいろありますが、「Yahoo!検索(リアルタイム)」が手軽でお勧めです。定期的にアプリ名で検索(いわゆるエゴサーチ)することで、アプリに対するユーザーの声を集めることができます。

 以下は、エキサイトのスマートフォンアプリである「寝たまんまヨガ」で検索した結果です。

Yahoo!検索(リアルタイム)検索結果

 アプリに関する発言内容と、発言元のSNS名が表示され、右側にはキーワードの注目度も表示されます。

Yahoo!検索(リアルタイム)キーワードの注目度

「寝たまんまヨガ」における改善事例

 実際の活用事例を紹介します。前に挙げたアプリ「寝たまんまヨガ」のリアルタイム検索の結果を詳しく見ていくと、以下のような状況がわかりました。

  • Twitterの利用ユーザーが多い
  • 1日あたり、2〜3ユーザーがツイートしている
  • 肝心のアプリをダウンロードできるURLが含まれていないことが多い
  • アプリを勧めるコメントが目立つ

 この時点での「寝たまんまヨガ」アプリには、ソーシャルボタンなどのシェア機能がありませんでした。それでもアプリを勧めるツイートがあることから、アプリ内にソーシャルボタンを追加すればシェアやツイートが促進され、ダウンロード数の増加につながるのではないか、と考えました。

 そこで、以下のような施策を実施しました。

  • アプリTOP画面に、Twitter/Facebook/LINE/Google+/Mailにシェアできる「友だちにすすめる」ボタンを設置する
  • シェアする際に、アプリをダウンロードできるURLを自動的に付与する
  • 実際にユーザーがソーシャルでつぶやいている文言もプリセットする

 複数の文言パターンを用意してA/Bテストを実施し、ダウンロードにつながった文言をプリセットしたところ、最終的に新規ユーザー(ダウンロードベース)が5倍(500%アップ)に増加する効果が得られました。アプリの改善だけでなく、集客にもつながった好例です。

ユーザーレビューを監視して即時対応する

 配信ストア内のレビューコメント欄もユーザーの生の声を聞く貴重な場所ですが、iTunes ConnectやGoogle Play Developer Consoleでレビューを1件1件確認するのは時間も手間もかかります。

 そこで、エキサイトではレビュー監視ツールを独自に開発し、App StoreやGoogle Playのレビューのコメント、評価数、日付を、開発チームにメールで定期的に通知する仕組みを作っています。

実際に、送られてきたメールの画面キャプチャ

 「以前のバージョンが見やすかった」「こういう機能がほしい」など、配信ストアにユーザーが投稿するレビューと評価の内容が一目でわかるので、アップデートの際の参考になります。

 また、不具合によってアプリのクラッシュが多発すると、不具合内容を指摘する投稿でレビュー欄が埋め尽くされることがあります。こうしたツールを使って問題発生をいち早く察知し、改修などの対応ができます。

アプリのクラッシュをいち早く把握できる「Crashlytics」

 アプリ使用中の異常終了(クラッシュ)は、ユーザーにもっとも嫌われることであり、アプリの起動を敬遠したり、削除したりする原因になります。配信ストアのレビューの監視でも対応できるものの、深刻な不具合の場合、実際に異常終了が起きてから書き込みまでの間に、ユーザーが離れてしまうこともあります。

 「Crashlytics」は、アプリが異常終了したときにクラッシュログをサーバーに送信し、原因の特定と問題の解決を助けるツールです。

Crashlyticsの使い方

 Crashlyticsを利用するには、あらかじめ専用のSDKをアプリに導入し、Crashlyticsのダッシュボードで、異常終了時にメールで通知するように設定しておきます。

実際にメールで届いた内容の画面キャプチャ

実際のクラッシュレポート

 Crashlyticsのクラッシュレポートでは、以下の情報が得られます。

  • 問題が発生しプログラムの場所、異常終了の発生回数/人数
  • アプリのバージョン別/デバイス別/OS別/日別の異常終了件数グラフ
  • 異常終了時の端末の状態(ディスクの空き容量やメモリの空き使用量、操作中かどうかなど)

 実際の運用では、異常終了したプログラムの処理内容や発生回数/人数から、影響範囲の大きなバグから優先的に修正していきます。

 Crashlyticsを使うと、iTunes ConnectやGoogle Play Developer Consoleのクラッシュレポートよりもすばやく、詳細な情報が得られます。ユーザーがアプリを利用する環境やシチュエーションはさまざまなので、異常終了が発生する理由もさまざまです。いかに早く不具合を検知し、対応していくかは、アプリを継続的に成長させる大切なポイントです。

 次回は、アプリのダウンロードに直接的に関わる「配信ストア内でやるべきこと」を紹介します。


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