国保だけじゃない! 国保組合という選択肢もアリ
カリー 今回、一番教えていただきたいのは、やっぱり国民健康保険の保険料を安くできないかということですね。所得税と同じで、経費がかさんで所得が低くなれば、なんとなく国民健康保険が安くなるんだろうなという認識はありますが……。
いくちょん 私、友達から「減免」っていうのを聞いたことがあります。なんか安くなるっていう。
カリー えっ、それって何?
いくちょん 私も実はよくわかってないんですよ(笑)
茂田 前年の所得が著しく低かったり、災害にあったり。あとは病気や障害で仕事ができなくなったり、事業所の都合で解雇されたり場合に、各市区町村に申請すると最大7割減にしてくれるんですよ。
カリー そうなんだ!
茂田 あとは、ご存知かもしれませんが、文芸や美術などのクリエイター向けに「文芸美術国民健康保険組合」という国民健康保険組合(国保組合)があるんですよ。これは所得額に関係なく、一律で月額1万6900円、年間で20万2800円になります。
カリー・いくちょん・編集K へー!
茂田 ライターさんや声優さんも含まれますね。ただ、加入するためには、まず各加盟団体に入らなきゃ行けないんですよ。例えば、「日本文芸家協会」とか「日本演劇協会」とかね。対象の加盟団体は、ウェブページで確認できますよ。
いくちょん そんな仕組みがあるとは。組合ってちょっとハードルが高いイメージが勝手にありました。
茂田 フリーランスのクリエイター向けにいろんな協会があるので、意外にいけますよ。保険料も別のページで所得を入力して計算できます。収入がない子供がいると国保のほうが安くなる場合もあるんですけど、独身の人なら絶対コレのほうがお得ですよ。
編集K 子供がいると高くなるんですか?
茂田 そうですね。文芸美術国民健康保険組合だと家族一人当たり8700円になるから、無収入の高校生まではこっちのほうが高くなるんですが、単身だと断然得。あと、配偶者が働いていればこっちのほうが得かな。
編集K でもどれだけ所得が上がっても、保険料が一律ってスゴいですね。
茂田 国保組合のいいところがソコなんです。ただ、世帯で全員同じ保険に入らなきゃいけないので、この文芸美術国民健康保険組合に入ったら、子供もみんな入らなきゃいけないっていう条件はあります。
カリー いくちょんがめちゃくちゃ売れっ子になってスゴく収入が上がったら、こっちに入ったほうが圧倒的に有利ってことだね!
編集K これって他の職業の方はどうなるんでしょう? 国保組合がない業種ってあるんでしょうか。
茂田 確かに国保組合は全部の業界にあるわけじゃないです。税理士も弁護士もあるんですが、社労士はない。
カリー どこに入られるんですか?
茂田 国保か、自分で会社を作ってその健康保険に入るとかですね。
カリー へー。ない業種もあるんですね。じゃあ、われわれは上手く活用していかないと。そもそも、フリーランスの選択肢として国保以外があって、そういうのに入っていいというのを知らなかったです。あれっ、そもそも国保って誰が運営してるんですか?
茂田 国保は市町村ですね。だから、住んでいる市町村によって保険率が違うんですよ。
カリー ええっ! マジですか。国じゃないんだ。
茂田 そうなんです。国保組合は国保が整備される前に、業界でそういう組合をつくりましょうという流れで生まれてるんです。文芸美術国民健康保険組合なら、設立は1951年(昭和26年)。一方で国保は、役所や企業に雇われていない人まで対象にしたのは1958年(昭和33年)ですね。
いくちょん へー。歴史あるんですね。
カリー あ、じゃあどれかひとつの健康保険に入ってお金を払っていればいいという感じですか?
茂田 そうですね。だって、具合が悪くなったときに安価に治療ができればいいんですから。
カリー 確かに(笑)。ということは超金持ちなら、保険入ってなくてもそのままキャッシュで全部払ってもいいっていう話ですか?
茂田 それはダメで、今は「国民皆保険」といって、全員何かの保険に入ることが義務づけられてます。先ほどから出てる市町村の国保、業界団体の国保組合のほか、中小企業向けの「協会けんぽ」、あとは企業や業界団体が持っている「健康保険組合」とかですね。
カリー へー! こういう話、誰も教えてくんないですよ。
いくちょん ねー! 知らなかった、ほんとに知らなかった。
茂田 え、本当ですか!?
カリー いや、確定申告すると、送りつけられてくるじゃないですか、「くそー、高いなー」と思いながら毎年しぶしぶ払って。もうこの話を聞けただけで、今日来てよかった!!
一同 (笑)
健康保険のあらまし
日本は「国民皆保険」制度なので、すべての人が何らかの健康保険に入ることになる。
サラリーマンなら「社保」こと社会保険で、会社と個人が保険料を半分ずつ負担している。
いっぽうで我々フリーランスがおもに入っているのが「国民健康保険」で通称は「国保」だ。そのほかに1950年代に職業ごとの健康保険組合が整備されたものが現在も残っていて、これが「国民健康保険組合」。通称は「国保組合」で自分の職種に合うものがあればこちらに入ることもできる。
(次ページ、「国保が高いと感じるのはナゼ?」に続く)
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