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Googleアナリティクスによるアプリ分析の基本と改善事例 (3/3)

2014年07月04日 11時00分更新

文●池村 修/エキサイト

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アプリインストールと初回起動を促す

 ユーザーがアプリマーケットのページまで到達しているのにインストール数が伸びない場合は、「アプリコンバージョン率」を高める必要があります。アプリコンバージョン率は、Googleアナリティクスの「参照フロー」から算出できます。

アプリコンバージョン率= インストール÷Playストアビュー×100

 アプリコンバージョン率は、ASO(アプリストア最適化)に取り組むこと向上できます。アプリ名やアプリ説明文、スクリーンショットを週1回の頻度で変更し、ランキングの推移やダウンロード数をチェックします。変更した前後1週間を比較し、ランキングが急激に下がったり、ダウンロード数に変化がなかったりするときは、Google Playのストア説明文がユーザーに伝わっていないと判断し、さらに変更して改善していきます。

課題 アプリコンバージョン率が低い
分析 アプリコンバージョン率を算出
実施 アプリ名、説明文、スクリーンショットを変更する

 一方、アプリのインストール数は増えたのに、「初回起動率」が低いことがあります。アプリをインストールしたまま、一度も起動されない状態です。

アプリ初回起動率=新規ユーザー÷インストール×100

 アプリ初回起動率が低い場合は、ユーザーのアプリに対する関心度が弱まっている可能性がありますので、通知機能を使って初回起動を促す、といった対策を検討する必要があります。たとえば、インストールから2週間経っても一度もアプリを起動しないユーザーに通知を送る、といった方法があります。

課題 アプリ初回起動率が低い
分析 参照フローからインストール率、アプリ初回起動率を算出
実施 インストール後2週間初回起動しないユーザーに通知

 通知しても起動されない、もしくは、アプリが削除されてしまうときは、アプリ自体の必要性が問われています。Googleアナリティクスの分析結果をもとに、アプリのコンセプトや訴求ポイントを1から見直す必要があるでしょう。そういった意味で、第2回に紹介した「app definition statement」は常に見直していきましょう。

想定外の離脱を改善する

 「エキサイトニュース」アプリは14カテゴリーのなかで、「エンタメ」「Apple」カテゴリーが多く閲覧されており、このアプリの強みといえます。一方、他のカテゴリーへの誘導が弱く、離脱が多いのが悩みでした。そこで、「行動フロー」からユーザーが離脱するスクリーンを特定し、離脱理由の仮説を立てます。

 アプリ起動後、トップニュースからの離脱が約40%あります。トップニュースで表示されている記事がユーザーに評価されていないと仮定し、アプリ内でよく見られている記事を表示するとともに、画面のUIを変更することで、離脱の改善を狙います。

課題 離脱率が高い
分析 「行動フロー」からユーザーの離脱が多いスクリーンを分析
現状 トップニュースの離脱率が高い
仮説 トップニュースの記事が面白くない、トップニュースのUIが悪い
実施 記事の質を改善、UIの改善を実施

ソーシャルボタンの利用促進

 アプリ内の特定の機能、たとえばソーシャルボタンの利用を促進したい場合、ボタンの大きさや位置を変更し、使いやすさを追求していく必要があります。

アプリのソーシャルボタンを変更

 左図はエキサイトニュースのリニューアル前、右図はリニューアル後の画面です。シェアボタンをアイコンとテキストの組み合わせから、アイコンのみにすることですっきりしたデザインになり、以前よりも機能が目立つようになりました。このケースでは、SNS利用率が実際に140%向上しました。

課題 シェアボタンのデザイン変更で利用率を向上
実施 アイコンのみのデザインに変更
結果 SNS利用率が140%向上

 Google アナリティクスは、現状のアプリの規模を把握すると同時に、アプリの抱える問題点や強みを分析して、アプリのコンテンツやUI設計、集客施策の改善に役立ちます。ユーザーが減少しているからサービスを終了する、機能が使われていないから機能を取り外すのではなく、まずは現状の数値をいかに改善していくかが大切です。私たちの取り組みでも、実際に、Googleアナリティクスでアプリの課題を発見して改善し、アプリを急成長させた事例は山ほどありますので、前向きな姿勢で取り組みましょう。


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