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フィンランド教育が自由すぎて素晴らしい

2014年06月27日 16時00分更新

盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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Purple Drummer

 ご覧のとおり、フィンランドSonghi(ソンハイ)社のJussi Aronen(ユッシ・アローネン)CEOはミュージシャンだ。しかし普段はヘルシンキのナイトクラブではなく、小学校で稼いでいる。

 2007年設立のソンハイは、オーディオエンジン「リップル」、音楽ゲーム「メロディマッチ」など音楽ソフトの開発・販売会社。最近のヒット商品は、小学校向けのクラウド作曲ツール「ソンハイ・フォー・スクール」だ。

 「フィンランドの小学校2000校の10%にあたる210校、4500人以上の生徒が使っています。料金は1校あたり年額500ユーロ(約6.9万円)、生徒が250人とすれば1人2ユーロ(約277円)」

 収入は単純計算で年間1450万円程度と小粒だが、今後はクラウドの特性を活かして世界規模で展開。フィンランドでシェアを広めつつ、マレーシア・インドネシア、南米など新興国に進出予定だ。


教師の「自由と責任」が作るフィンランド教育

 アローネンCEOの風貌の次に驚かされたのは、採用率の高さだ。

 子供1人あたりにすれば安いとはいえ、7年前に登場したばかりのベンチャーが作ったサービスをいきなり10%もの学校が導入するとは、日本のように教材選定に慎重な国からすると信じがたい。

 フィンランド教育文化省のEsa Suominen(エッサ・スオミネン)氏によれば、国の教育指導要領があっても「どんな教材を使うかはすべて教師にゆだねられている」のだという。

 フィンランドでは小学校から中学校、高校、職業訓練校、大学まで、すべての教育が無償。公務員である教師1人1人が自由に予算を使い、自分がすべきと考える教育を施しているわけだ。

 親からの苦情はないのか尋ねると「ときどきはありますが、めったに出ません」。なぜかといえば「教職課程の中でもレベルの高い人たちが選ばれるから。倍率が高いぶん信頼性が高いんです」。

 教育学部の倍率は常に10倍以上で、教師への道はさらに険しい。大学の修士課程をおさめた学生は「弁護士か教師を選びます。フィンランドで教師は最も尊敬されている職業なんですよ」。

Professional of Education

生活指導も部活動もなし、教師は教育の専門家

 年収は500万円程度とけっして高くない。それでも教師が選ばれ、尊敬されるのは、やはり「自由と責任」を尊ぶフィンランドの国民性があるためという。

 「教師たちにとって大事なのは、誰かに支配されないこと。責任をもって自由に子供たちの教育を進められることに生きがいを感じるんです」

 日本と違い、フィンランドの教師には生活指導や部活動など担当科目以外の業務がない。短い労働時間で、余裕を持って教育に専念できるのも魅力の1つなのだろう。

 課題は教師・学校ごとに教育格差が出てしまう点だが、基本的にフィンランドの教育水準は高い。

 学習到達度調査(PISA)でもフィンランドは上位をキープしているが「政府が特に何かしたわけではありません」。以前は教育機関の監査制度もあったが、25年前に廃止された。

 「(上位に入ったとき)メディアは大騒ぎしますが、教育関係者からすればPISAはミス・コンテストとは違います。ランク付けには興味がありません。むしろ教育の平等な権利が保たれているか、雇用・教育環境がどうなっているか、国民1人1人の教育レベルが上がったかが問題なんですよ」


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