バックアップソフトを手がけるアクロニスが最新のITトレンドに対応すべく提唱しているのが、「AnyData Engine」というコンセプトだ。米アクロニス ワールドワイドセールス&マーケティング プレジデントのローレント・デデニス氏に聞いた。
4大トレンドに対応するAnyData Engine
AnyData Engineとは、アクロニスが手がける次世代データ保護のコンセプトを指す。物理環境と仮想環境、オンプレミスとクラウド、WindowsとLinux、デスクトップとモバイルなど、あらゆる環境に分散するデータの保護を統一したポリシーやインターフェイスで管理し、バックアップやマイグレーション、災害対策、セキュアなモバイルアクセスを実現するというもの。今後、アクロニスが開発するエンジンは、すべてこのAnyData Engineをベースに開発され、複数の製品が協調して動作することになるという。
米アクロニス ワールドワイドセールス&マーケティング プレジデントのローレント・デデニス氏は、「AnyData Engineは完成され、安全で、使いやすいモノでなければならない。そして、このデータ保護はあらゆるデータ、あらゆる環境、あらゆる場所で行なわなければならない。そして、仮想、物理、クラウドの環境を守る必要がある」とそのデザインを語る。
こうしたコンセプトが生まれた背景は、5年前から登場してきた「クラウド&仮想化」「モバイル&BYOD」「データ爆発」「ビッグデータ」などのトレンドだ。デデニス氏は、「一元化されたITから分散化されたITに変化してきた。4つの大きなトレンドが同時に訪れ、過去に例を見ないパラダイムシフトが起きている。こうした中、新しい次世代のデータ保護が必要になってきた」と指摘する。
アクロニスの製品は、こうした4大トレンドにいち早く対応する。VMwareやHyper-Vなどの仮想環境のバックアップ、Windows版とLinux版の提供、PCのみならず、幅広いモバイルデバイスへの対応など、トータルで最高のソリューションになっているという。この背景には、優れた技術と実績があるとのこと。デデニス氏は、「他に先駆けてスナップショットの技術を開発し、ベアメタルの技術として提供していたが、マイグレーション、デプロイメント、データ保護にまで使われるように至っている。当初はSMBを中心に製品を展開してきたが、現在はエンタープライズのユーザーも製品を導入しており、今では30万におよぶビジネスユーザーがいる」とアピールする。
サービスプロバイダー向けのソリューションを強化
このAnyData Engineの中には、クラウドストレージのオプションと、通信事業者やサービスプロバイダー向けのバックアップソリューションが用意される。従量課金でのバックアップサービスを可能にする「Acronis Service Provider Backup as a Service(BaaS)」やサービスプロバイダー向けのレンタル用ライセンスである「SPLA」、エンドユーザーがサービスとして利用可能な「Acronis Backup Advanced for vCloud」などで、今後日本でも提供が予定されている。
これらのソリューションを用いることで、通信事業者やサービスプロバイダーは加入者に対して、さまざまなバックアップサービスを提供できるようにするほか、オンプレミスのバックアップとの連携も可能になる。クラウドストレージとBaaSのプロセスを分けているので、国や地域ごとにローカライズできるほか、個人情報の保護などにもきめ細やかに対応できるとのこと。また、ローカルバックアップとクラウドバックアップのいずれも対応しており、1つのソリューションとして運用管理できるのが特徴だ。