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大規模なスケールアウトが可能な「ScaleIO」も販売開始

他社ストレージとコモディティサーバーに対応したViPR 2.0

2014年06月18日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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6月18日、EMCジャパンは7月1日からSoftware-Defined Storageプラットフォーム「EMC ViPR 2.0(ヴァイパー)」を販売開始することを発表した。また、コモディティサーバーでのストレージ構築を可能にする「ScaleIO」もあわせて市場に投入する。

新バージョンでは他社ストレージの対応を強化

 ViPRは、Software-Defined Storageプラットフォームとして、多種多様なストレージの統合管理を可能にするソフトウェア。製品ごとのプロビジョニングやレポーティングなどを統合的に行なう「ViPR Controller」と高度なデータサービスを提供する「ViPR Date Services」から構成されており、クラウドやビッグデータのインフラを前提にした、管理の自動化や高い拡張性、オーケストレーションとの統合などを実現する。

 発表会において登壇したEMCジャパン 執行役員 システムズエンジニアリング本部 本部長 飯塚力哉氏は、急速なビッグデータ化や4大トレンドの概況を説明し、今後の第3のプラットフォームへの移行をアピール。EMC、VMware、Pivotalのフェデレーションが提供するソリューションの中で、ViPRを第3のプラットフォームへの橋渡しを実現するストレージプラットフォームと位置づける。

EMCジャパン 執行役員 システムズエンジニアリング本部 本部長 飯塚力哉氏

 昨年のEMC WORLDにおいて鳴り物入りで発表されたViPRだが、今回発表された2.0ではViPR Controllerにおいては他社製ストレージへの対応を強化した。1.0ではEMCのVMAX/VNX/Isilonのほか、ネットアップのFASをネイティブサポートしていたが、新たにVblock、日立(HDS)のHUS VM/VSP(Blockのみ)やコモディティサーバー(HP SL4540)、後述するECSアプライアンスとScaleIOなどがサポートされる。

 他社ストレージへの対応は、ネイティブサポートのみならず、OpenStack(Cinder)プラグイン経由でも提供される。OSSの実績を活用することで、IBM(XIV/SVC/DS8000)やデル(EqualLogic)、HP(3PAR/Lefthand)、Solidfire、オラクル(ZFS)、ネットアップ(Eシリーズ)などもViPR Controllerの管理対象になるという。

他社ストレージおよびコモディティサーバーの対応

 EMCジャパン EMCシステムズ エンジニアリング本部 プロダクトソリューション統括部 ソリューション部 シニアシステムズエンジニア 平原一雄氏は、「ViPR 2.0では他社ストレージの大幅な対応強化を行なったことで、かなりのお客様で、管理の一元化と自動化が実現できる」とアピールした。

EMCシステムズ エンジニアリング本部 プロダクトソリューション統括部 ソリューション部 シニアシステムズエンジニア 平原一雄氏

ジオレプリケーションも対応!アプライアンスも投入

 ViPR Data Servicesにおいては、複数のデータセンターでのジオレプリケーション/ジオディストリビューションの機能が追加された。具体的にはネームスペース(データ所在管理)を複数サイトで共有できるようになったほか、どのサイトからアクセスしても整合性と最新バージョンの提供を保証されるようになった。さらにアクセスパターンを検知し、ローカルアクセスが増えるよう、オブジェクトを複数サイトに自動配置する機能も追加されている。

特許技術を含んだジオレプリケーション/ジオディストリビューション機能

 また、ScaleIOを基盤とした「ViPR Block Services」を追加。管理下にあるコモディティサーバーをブロックストレージとして扱えるようになった。従来のオブジェクトおよびHDFSストレージでもコモディティサーバーをサポートすることで、ファイル、ブロック、オブジェクト、HDFSなど新旧のストレージの管理を一貫して自動化できる。

 さらにクラウドストレージアプライアンス「EMC ECS(Elastic Cloud Storage)」も投入される。ソフトウェアで提供されるViPRに対し、ECSアプライアンスはViPR Data ServicesとScaleIOをハードウェアに搭載。ソフトウェア、サポートまでを一括で提供し、Software-Defined Storage環境を迅速に提供できるという。1ラックで最大2.9PB、クラスター化によりエクサバイトクラスまで拡張可能だという。

ViPR Data ServicesとScaleIOをEMC ECSアプライアンス

コモディティサーバーをストレージ化するScaleIOも国内へ

 今回はコモディティサーバーのストレージを共有ストレージとして利用可能にする「EMC ScaleIO」の国内販売も開始された。ScaleIOではサーバーにエージェントを搭載することで、接続されたDAS(Direct Attached Storage)のストレージデバイス(SSD、PCIeフラッシュ、HDD)を抽象化。これらを結合させることで、仮想ストレージプールを作成する。インフラの要件変化に柔軟に拡張できる共有ストレージとして構成することができる。

 EMC ScaleIOでは、サーバーノードを追加することで容量と性能を拡張し、1000ノードを超える大規模な構成までスケールアウトできる。また、すべてのノードでI/O処理が並列的に行なわれるため、ノード数にあわせ性能も拡張可能。ストレージとコンピュートをサーバーに統合(コンバージェンス)させることで、CPUとメモリと同じような共有リソースとしてストレージを扱えるという。

米EMC アドバンスドソフトウェア部門 SDS/ScaleIO担当 バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーのボアーズ・バルギー氏

 買収する前のScaleIOの創業者兼CEOでもあった米EMC アドバンスドソフトウェア部門 SDS/ScaleIO担当 バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーのボアーズ・バルギー氏は、CPUを使い切っていた従来と異なり、現在ではコモディティサーバーの処理能力に余剰が発生していると指摘。バルギー氏は、ScaleIOのダッシュボードを見ながら、「中小企業であって、安価なサーバーを束ねて、桁違いのパフォーマンスを実現できる。通常20%しか使っていないCPUの能力を、他のアプリケーションに有効活用することができる」とアピールした。

ダッシュボードを元にScaleIOの並列処理について説明するボアーズ・バルギー氏

 ScaleIOの価格は119万7000円(税別)~で、最小構成価格は12TB×9万9750円/TBとなっている。

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