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2007年以来、アップルのWWDCの基調講演には何人の女性が登場したか?

2014年06月16日 07時00分更新

文● Selena Larson via ReadWrite

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正解は2名(Siriを除く)だ。

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アップルがiPhoneをリリースし、モバイル・デバイスを持つことの意味を変えてから7年が経つ。同社によって毎年行われるWorldwide Developers Conference(WWDC)では、新しいソフトウェアやアプリケーション、オペレーティング・システムを披露するため、男性の幹部が次から次へと登場する。

エキサイティングな発表が次々と繰り広げられる中、ステージ上に欠けているものがある。女性とマイノリティーだ。

ベイエリアに拠点を置くライター、ジョー・ククラは最近、16時間に及ぶ過去のWWDC基調講演のビデオを調査した。彼が発見したのは、2007年以来のWWDC基調講演では57人の男性が演説しているが、女性はたったの1人であるという事実だ。2009年、ステファニー・モーガンと彼女のビジネス・パートナーの男性が、彼らのiPhoneアプリの紹介のために非常に短い時間姿を見せている。2009年のステージに現われた他の開発者のスピーカー達は皆男性で、全て単独で登場している(※)。

※その後、もう一名別の女性が2010年のWWDCの基調講演に登場していることが判明した。Zyngaのジェン・ハーマンだ(教えてくれたアマンダ・ウィックステッドに感謝!)。

私が自分で基調講演を確認してみたところ、白人男性の幹部がスマートフォンのカメラ性能や編集ソフトウェアのデモンストレーションを行っている場面で、女性やマイノリティーがわずかではあるが登場しているのに気付いた。だが彼らはステージ上には現われていない。

アップルが女性だと定義しているiPhoneのパーソナル秘書「Siri」は、2012年に音声のみで登場している。しかしボイス・コマンド・システムを、性の多様性に関する代表の一人とカウントするのは難しいだろう。

アップルは自社の顧客をきちんと認識すべきだ

女性は人口の半分を占めている。オンラインでの購入も全体の60パーセントを占めるのは女性で、さらにAndroidデバイスよりも小さく細い携帯を好む傾向があり、iPhone成功における大きな要因だといえる。またスマートフォンは米国だと、黒人やヒスパニックにより人気がある。

ではなぜアップルは、WWDCの基調講演で彼らを登場させないのだろう?

これはテクノロジー業界の、その中でも特に高度に技術的な職種における、人種や性の多様性に関する問題を暗示している。平たく言えば、こういった業界では白人男性が女性やマイノリティーを数ではるかに圧倒している。しかしこれだけははっきりさせておこう。たとえテクノロジー産業の上層部に女性やマイノリティがわずかしか存在しないとしても、アップルのリソースやブランド力には、彼らを従業員やスピーカーとして同社に参加したいと思わせるだけの十分な魅力があるのだ。

だがアップル側には、この件についてちゃんと考えている人間は誰もいないようだ。同社は年間で一番重要なイベントのスピーカーに白人男性ばかりを起用することで、「成功している技術者の人物像」とはどのようなものであるかを、イベントに集まった聴衆と世界中でそれを見ている人達に伝えているのである。

この不均衡は、WWDCの聴衆にも反映されている。アップル側の偏りが直接的な原因ではないだろうが、なんらかの影響は与えているようだ。

アップルのステージに登場する人々は、アップル製品のユーザー層を正確に表したものではない。しかし、同社の指導者層は正しく反映されているようだ。

去年の10月にアップルは、バーバリーの元CEOアンジェラ・アーレンツをリテールとオンライン・ストア担当の上級副社長として雇っている。同社の取締役を務めるアンドレア・ユングを含め、アップルの女性幹部は事実上、これで2名となる。アップルの指導者層における男女比は同社のステージに登場するスピーカーと似たようなものだが、こちらのほうが若干マシだといえる(WWDC基調講演に登場するスピーカーの男女比率57:1に対して、会社の指導者層は9:1)。

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変わるためのステップ

テクノロジー界における人種や性別の不均衡は一晩では変わらない。しかし、技術的な労働力に対する考え方を改め、自社の組織における多様性を強調するために、会社にもできることはある。

例えばグーグルは最近、同社における性別と人種のアンバランスさに関する情報を公開した。グーグルの従業員は70%が男性で、米国内では60%が白人だ。この不均衡を認めることによってグーグルは、この件に関して何か改善しようという姿勢を見せている。さらにベンチャー企業と大企業の両方に対し、同様の取り組みを行うよう促進している。

アップルにとって、年に一度のデベロッパー・カンファレンスは最大の見せ場である。アップルがその年の後半に何を計画しているのか知るために、世界中から人々がやってくるのだ。アップルは、同社の新しい技術がデベロッパーによる製品やサービス開発にどんな革命をもたらすかを紹介するためだけではなく、包容力のある職場環境の重要性を示す場所として、この機会を利用するべきなのだ。

今年、アップルのWWDCスローガンは「コードを書いて、世界を変えよう(Write the code, change the world)」だった。アップルは、同社の言う「世界」が非常に広大であり、そこには様々な性と人種の人々がいて、彼ら全員が同社のプロダクトを使っているのだということをもっと認識すべきだ。

もしかしたら来年のスローガンは、「コードを書いて、不均衡を変えよう(Write the code, change the ratio)」になっているかもしれない。

ここにMashableのライター、クリスティーナ・ウォレンによって投稿された、WWDCに登場するテクノロジー系の女性が集まっている写真がある。アップルの3人の女性エンジニアリング・リーダーが聴衆と話している。恐らく、彼女たちは来年のステージに登壇していることだろう!

アップルの2014 WWDC基調講演の画像提供:Stephanie Chan

Selena Larson
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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