1000億回書き換えも可能なフラッシュメモリや不揮発性メインメモリも将来的には
中央大学、カーボンナノチューブ半導体メモリの基本動作を実証
2014年06月12日 19時34分更新
中央大学は6月12日、カーボンナノチューブを使った半導体メモリ「NRAM」の研究を進め、高速・低電力・大容量・高信頼な基本動作を実証したと発表した。
NRAM(ナノチューブランダムアクセスメモリ)素子は、電極間に浮遊するカーボンナノチューブを静電力によって電極に接触させ通電、電気抵抗によってビットを記録する可変抵抗式メモリ。電流を切ってもカーボンナノチューブの状態は変わらないのでフラッシュメモリのような不揮発メモリとして利用でき、カーボンナノチューブの導電性はナノサイズでは銅線より高いため省電力も期待できる。
中央大学理工学部の研究グループは、NRAMの実用化を目指す米Nanteroと共同で開発を進め、140ナノメートルサイズの素子に対して最適な書き込み方法を開発。段階的に電圧を増加させることでメモリセルにはばらつきや揺らぎにかかわらず安定して書き換える手法を提案した。実験では、20ナノ秒の短いパルスで20マイクロアンペア以下という高速・低電力な書き換えを行い、書き換え時には100倍以上の抵抗変化を得ることができた。
大きな抵抗値の変化を段階的に得られることにより、1つのメモリセルに複数の値を記憶させることが可能になると考えられる。また、測定結果から書き換え可能回数は1000億回にもなると予測され、1万回程度のフラッシュメモリをはるかにしのぐメモリ素子になる可能性があるという。
今回の実証は140ナノメートルという半導体素子としては大きなサイズで、しかも単体の素子を測定した結果であるため、半導体メモリ製品の開発としては非常に初期段階ではあるものの、NRAMはフラッシュメモリのみならずDRAMやSSDなど主流ストレージデバイスとして可能性があることを示しているという。