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チームラボ高須氏が見た、Maker Faire Shenzhen

中国に行ったはずが……、そこはシリコンバレーだった

2014年07月10日 09時00分更新

文● 編集部、語り●高須正和、聞き手●遠藤諭

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君らは良い物を作ってるけど、ちょっとアーティストでニッチ過ぎるよね

── チームラボといえば、ギークの代表とも言うべき存在ですが。

 僕もHaxr8rのラボを見学したときに、いくつかチームラボの製品をプレゼンしてきました。

 結果は「すごくいいし、クールだ」と評価してもらえましたが、一方で「我々の対象ではないね、ニッチ過ぎる」とも言われた。(技術というよりは)アート志向だと。彼らはもっともっとプロダクト志向なんですね。「作れるから作ったんだろう、本気で何を作るかを考えた感じが足りない」とも言われました。自分たちはギークだし、イケてると思って活動してきただけに、そうじゃないと評価された点はショックでしたね。

 Haxr8rはハードウェアスタートアップを12種類に分類していますが、チームラボのプロダクトはせいぜい「フューチャーウェア」(時期尚早だったり、市場がまだないプロダクト)、場合によっては「ロスウェア」(超薄利あるいは収益が得られないもの)だそうです。

 Haxr8rは、まずスタートアップに出資して製品作りをサポートし、彼らが起業するところまで育てて、株式公開したところで投資を回収するというビジネスモデルを取っています。彼らはマックスで1億ドルが見えるようなアイデアでないと支援はしないと言うんです。Kickstarterから生まれたプロダクトとしてはGoProやOculus Riftなどがありますが、そういう大きな世界を狙っている。

 そして何よりも驚いたのは、ハッカーがパーフェクトなハッカーのまま、ビジネスを成功させているという点です。

 日本でハッカーのゴールは何かと言えば、ひとつはデザイナーになること、もうひとつは研究者になることでしょうか。スポーツの世界にはイチローや松井秀喜のように海外のメジャーに乗り込んで成果をあげた日本人がたくさんいますが、そんな中で僕がなんとなく思い出したのは中田英寿です。

 彼は「(日本のサッカーの発展を考えるなら)海外に来て俺を応援するより、Jリーグを観ろ」と言いましたが、Haxr8rのような仕組みが日本に根付くためには、日本全体のレベルが上がらなければならない。日本には世界最大最高水準のDIYコミュニティがある、世界最大の工学部・高専出身の卒業生がいるのに、そのMakerたちから、世界を驚かせるプロジェクトが生まれてこない。どうやれば、また世界を驚かせることができるようになるのか、そのためにがんばるしかないなって思いました。

 とりあえず、日本のMakerにもっとシンセンを見てもらった方がいいだろうな、と思いました。まず知って、いろいろとマネすれば、別の道が見つかるかもしれない。日本はかつてそうやって世界を驚かせてきたわけですから。

 そのために、ニコニコ技術部として、私的にシンセンの見学会を、8月5日~9日に実施することにしました。現地集合現地解散ですが、翻訳家の山形浩生さん、SF作家の野尻抱介さん、Necomimiの開発者の加賀谷友則さん、ほか日本のテクノロジーベンチャーのCerevo岩佐さん、コイニー久下さん、Yakulなどが参加予定です。MakerFaireに行った時に仲良くなったので、Seeed Studioの案内でシンセンの工場群や電気街を見学したり、Haxr8rのチームが特別に日本人Maker向けにプレゼンしてくれたりします(ニコ技シンセン観察会 8/5-10)。

 あとで感想をブログに書いてくれることだけが条件なので、ぜひ皆さん参加してほしいですね。

※ニコ技シンセン観察会はあくまでも深センの最新事情に関心がある有志のための集いです。自己責任となる点をご理解の上、ご興味のある方のみご参加ください。(編集部)

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