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チームラボ高須氏が見た、Maker Faire Shenzhen

中国に行ったはずが……、そこはシリコンバレーだった

2014年07月10日 09時00分更新

文● 編集部、語り●高須正和、聞き手●遠藤諭

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日本人として、あせりと不安を感じた

── カルチャーショックがあったということでしょうか。

 日本人としては、正直あせりと不安でいっぱいになりましたね。

 これまで僕は中国が怖いと思ったことは一度もなかったんです。コスト競争では負けるかも知れないけど、アイデアやものづくりのクールさで日本が負けるなんて想像したことがなかったんですね。でもそんな考えが変わった。

 深センのMaker Faireは200組程度の出展規模で、昨年までは(より小規模な)Mini Maker Faireとして開催されていました。東京のMaker Faireには400組程度の参加があると聞いているので、規模で言えば半分程度です。

 しかし、深センは世界中のマスプロの中心で、いわばハードのシリコンバレーと言ってもいい場所です。部品も豊富に手に入る。

 会場を歩くと、数人がガレージで始めた米国のベンチャー企業のイメージとかぶる面もある。創業当時のアップルコンピュータのようなものです。3~5人ぐらいで出展しているチームが多くて、比率で見ても半分は白人です。欧米から深センに拠点を移して活動している人も多い。想像とずいぶん違うなと思いました。

 考えてみれば米国でモノ作りをしようと思っても小さな町工場みたいなところがポツポツとあるだけです。一方深センならSeeed StudioのようなMaker御用達の基板製造会社などもある。秋葉原の30倍大きい、世界中のあらゆる電子部品が置いてある電気街もある。射出成形の金型を世界で一番速く作る、仕事に飢えた1000の工場がある。企画して、設計して、製造してという一連の流れが深センだけで完結し、それを多くのMakerが利用している。ハードウェア版のシリコンバレーとして、完全に独立した様相を呈しています。

 こういうことが可能になるのは、Haxr8r(ハクセラレーター)のような存在があるからですね。Haxr8rはシードアクセラレーター、言うならば(スタートアップ企業に投資する)Y Combinatorのハードウェア版と言ってもいいかもしれません。

 見込みがあるチームがあれば食事や住居などを提供し、そこに複数のチームが集まり、思い思いにMakeできる環境ができる。チームにはメンターがついて相談に乗ったり、資金も援助します。メンターにはMake:を読んだことのある人なら、たぶん誰もが知っているMitch Altmanだったり、Nolan Bushnellといった人が名を連ねています。Haxr8rについてもレポートを書きました。

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